育成馬ブログ 生産編⑦「その3」
子馬の保定 その3 タオルパッティングを利用したレントゲン馴致
馬の性格は様々で、生まれた時から落ち着いている子馬もいる一方で、
怖がりで敏感な子馬がいることも事実です。
例えば、後者に対してX線検査をする際、
X線のカセットを最初からいきなり後肢に触れさせた場合には、
カセットもしくは保持者の手を子馬に蹴られるのがオチです。
この際、毎日の手入れの時間の「タオルパッティング」をお薦めします。
最初はタオルが後肢、股間、ヒバラなどに触れた時に
怖がって蹴り上げたり、動き回って逃げまわったりします。
しかし、数日間継続して実施することで、
「タオルが馬に対して危害を加える存在ではないこと」を認識して、
落ち着いて立っていることができるようになります。
これができたら、カセットに似た硬い板などを
後肢や股間などの検査で触れる部分に当てて慣らします。
タオルパッティングを利用したX線馴致
この場合に重要なことは、人間がリラックスしていることです。
人間が落ち着くことにより、
馬はタオルが体に触れることが恐怖ではないことを理解します。
一方、人間がイライラもしくは緊張しながら実施すると、
タオルが触れることによる恐怖心を植え付けることになります。
また、このような馴致は短期間にできるものではないことも認識する必要があります。
毎日の手入れの中で少しずつ人馬の信頼関係を積み上げていくものです。
There is nothing so good for the inside of a man
as the outside of a horse.
イギリスの政治家John Lubbock 「人間の成長にとって、馬ほど優れたものはない」
子馬を保定するうえで、道具や鎮静剤を用いた方法、
他馬を利用した方法を選択せざるをえない場面もあると思います。
しかし、それらの手法に頼ることなく、
人馬が1対1で向き合ったうえで保定することは、
人間にとっては、馬の取り扱い技術を向上させる貴重な機会になることでしょう。
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