育成馬ブログ 生産編③「その1」
おとなしい馬?or うるさい馬? その1
競走馬や育成馬の個々の性格を語る際に、
彼ら(彼女ら)を取り扱う人が
「おとなしい馬」と「うるさい馬」
の二元論で表現することが時々あります
(以前と比較して随分と少なくなった気がしますが)。
果たしてこれは正しい表現方法なのでしょうか?
おそらく、もっと多くの表現方法があるはずですし、
たとえ1頭の馬でも、
場所や状況に応じて雰囲気や態度が異なることもあると思います。
今回の当欄では、馬の様々な性格に関して、
人間がどのように向き合っていったら良いのか、
当場の子馬達の現在の様子を紹介しながら、
考えていきたいと思います。
本年産のJRAホームブレッド5頭は
12月現在で8~9か月齢、
離乳後に現在の放牧地に移動してきてから
3か月以上が経過しました。
前回のブログで紹介したように、
どの馬も「集放牧時の駐立や常歩検査の練習」、
「後膝レントゲン馴致」を問題なくこなします。
毎月1回実施しているノドの内視鏡検査も、
軽く鼻をつまむだけで素直に受け入れてくれます。
鼻粘膜を傷つけるほど強引に内視鏡を挿入しない限り、
痛みを伴う検査でもないので、
鼻捻子を使用しませんし、枠馬にも入れません。
当歳馬の内視鏡
このように、こちらの要求の多くを受け入れてくれる子馬達にも、
さらなる経験を積ませたいとの考えから、
新たにブルーシートを用いた引き馬を始めました。
これは、いつもの集放牧の際に、
ブルーシートの上を歩かせるという単純なものですが、
歩く際のシートのガサガサした音や、
時折風に煽られて膨れ上がるシートに
恐怖を感じて近寄らない馬もいるほどで、
彼らにとって難易度は低くなさそうです。
しかし、実施後2週間が経過すると、
面白い傾向を観察することができました。
当たり前のことかもしれませんが、
5頭(①~⑤)それぞれの反応が異なるのです。
当歳ブルーシート馴致
①全く反応せずに躊躇なく通過
②多少気にするが躊躇なく通過
③警戒心強く近寄らず、怖がりながら通過
④警戒心強く、なかなか近寄らず、一歩一歩慎重に、怖がりながら通過
⑤警戒心かなり強く、全く近寄らず、一歩一歩慎重に、怖がりながら通過
この5頭をあえて2つのグループに分けると、
①と②のように
「新たな刺激に対して恐怖を感じることが少なく、
受け入れが早いグループ」と、
③~⑤の馬のように
「新たな刺激に対して恐怖を感じやすく、
テンションがあがりやすいグループ」になるかと思います。
つづく