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育成馬ブログ 日高④

⦁ 運動時内視鏡検査を行いました(日高)

 

JRA日高育成牧場は一年で最も寒い季節を迎えました。

シーズン最盛期を迎えた町のスケートリンクでは、

ちびっ子スケーター達が毎日トレーニングに励んでいます。

浦河町でスケートをはじめ

ソチオリンピックに出場したウィリアムソン師円選手や

次期オリンピック代表候補の小田卓朗選手は、

彼らの憧れであり目標でもあります。

 

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  写真1.浦河町の屋外スケートリンク

 

●育成馬の近況

 

まずはJRA育成馬の近況をお伝えします。

2歳育成馬の調教はここまで順調に進められています。

屋内800mトラックをキャンター1周(縦列:ハロン22秒程度)

してから手前を変えて2周(2列縦隊:ハロン20秒程度)する

基本メニューを継続しながら、

週に2回(火曜・金曜)の坂路調教を行っています。

現在、坂路調教日には

800mトラックのウォーミングアップ(2周、ハロン22秒程度)

してから坂路を2本(ラスト3ハロンを18-18-18秒程度)

駈けあがっています。

 

さらに放牧とウォーキングマシン運動だけで管理されていた

週2日の休日は1日だけになり、

週に1回屋内800mトラックを2周+2周(ハロン22-20秒程度)する

スタミナ調教もはじめました。

調教内容は徐々に強化され、

競走馬としてデビューする日に向けて

着実に前進しています。

 

 

動画1.坂路調教時の映像

先頭はビクトリアスズランの15(父:ケイムホーム)

  

 

●運動時内視鏡検査を実施しました

 

続いて育成馬に実施した運動時内視鏡検査

(オーバーグランド内視鏡検査:以下OGE検査)を紹介します。

以前の運動時内視鏡検査は

馬をトレッドミル上で走らせながら検査していました。

このOGE検査は騎乗しながら安全に内視鏡検査が実施できるため、

騎乗調教中の「ノドのライブ映像」が確認できます。

また、トレッドミル内視鏡検査では見つけられなかった

異常が発見できることもあります。

 

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  写真2.運動時内視鏡検査。頭絡に固定した内視鏡(赤矢印)と

軽量化された映像保存機器(黄色矢印)が装着されています。

 

この育成馬は、枠場で行った安静時内視鏡検査で

喉頭片麻痺(Laryngeal hemiplegia:以下LH)の

グレードが高かった馬です。

LHは、ノドにある披裂軟骨(図1参照)の動きが悪くなる疾患で、

その動き方や状態をみてグレードわけされます。

(正常グレードⅠ~異常グレードⅣに分類)

 

披裂軟骨は気管の入り口に位置し、

息を吸い込む際に大きく開くことで

気道が広がって十分な酸素を取り込みます。

披裂軟骨を動かす筋肉(背側輪状披裂筋など)を

支配する神経が麻痺すると披裂軟骨が十分開かなくなり、

走行中に十分な酸素が取り込めずに

プアパフォーマンス(本来持っている走行能力を発揮できない状態)

を引き起こします。

 

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  図1.馬の上気道と内視鏡像

  

 

今回の検査は坂路調教時に実施し、

走行スピードはラスト3ハロンが58秒(20-19-19秒)でした。

この検査結果(動画2)をみると、

騎乗調教時には披裂軟骨が十分に開き、

気道が広く確保されていることがわかります。

(動画3と比較してください)

 

今後も必要な馬には、

積極的にOGE検査を実施しようと考えています。

 

 

動画2.OGE検査動画

駈歩中は左右の披裂軟骨が大きく開いて気道が確保されています。

検査中に録音した呼吸音にも異常は認められません。  

 

 

 

動画3.同じ馬の安静時検査動画  

 

 

●BTC34期生の騎乗研修

 

話は変わりますが、

以前紹介したBTC(軽種馬育成調教センター)研修生の

騎乗訓練が続いています。

19名いる研修生が2歳馬に騎乗できるのは

当場で行うこの研修だけなので、

彼らにとってとても貴重な経験になります。

研修は「4月10日(月)の育成馬展示会まで」という

限られた時間の中で、

少しでも多くのことを学んで、

競馬サークルを支える立派な人材に成長して欲しいと思っています。

 

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  写真3.JRA育成馬に騎乗する研修生(写真右端。青いヘルメットで騎乗)

 

 

●育成馬検査を行いました

 

最後に、宮崎育成牧場の記事でも紹介した育成馬検査を、

当場でも行ったので紹介します。

検査にはJRA本部から担当職員が来場し、

全馬の調教状況の確認ならびに馬体検査を行います。

この馬体検査では

馬の成長具合や疾病の有無を確認すると同時に、

手入れ・トリミング・しつけも含めた

馬をみていただく姿勢を評価する

“ベストターンドアウト賞”の審査も行いました。

この審査で高く評価されることを目指し、

職員ならびにBTC研修生は入念に担当馬を磨き上げるとともに

ウォーキングの練習を行いました。

このような審査を頻繁に実施することで

互いに競い合い、

お客様がいつ来場されても

馬をきちんと見ていただける環境を整えておきたいと考えています。

 

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  写真4.馬体検査中の育成馬

(レディフェアリー15、牝、父:ゼンノロブロイ)

 

寒さ厳しい季節ではありますが、

是非とも日高育成牧場にお越しください。

関係者の皆様のご来場、心からお待ちしております!