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育成馬ブログ 生産編⑦(その1)

「感染性子宮内膜炎」について

 

○「感染性子宮内膜炎」とは

 

前回の当ブログでは「交配誘発性子宮内膜炎」について

ご紹介いたしましたが、今回はもっとオーソドックスな

「感染性子宮内膜炎」についてお話しいたします。

こちらは、文字どおり細菌や真菌の感染によって

引き起こされる子宮内膜炎で、

繁殖牝馬の受胎能力を低下させる主要な原因の一つです。

エコー検査による子宮内貯留液の確認に加え、

綿棒によるぬぐい液検査(子宮スワブ)によって

細菌もしくは真菌が検出されることで診断されます(写真1)。

治療法として、子宮洗浄や抗菌薬の子宮内投与があります。

今回は感染性子宮炎ではどのような細菌が検出され、

どのような抗菌薬が有効なのか、

日米の臨床データを比較してみたいと思います。

 

Photo

写真1 細菌検査のための子宮内スワブの採取

 

 

感染性子宮内膜炎の原因菌(日高での調査)

 

第39回生産地における軽種馬の疾病に関するシンポジウム

(H23生産地シンポ)でNOSAI日高(現NOSAIみなみ北海道)の扇谷学先生が

「馬子宮頸管スワブからの細菌分離と子宮内投与抗菌薬の使用状況について」

というタイトルで発表した内容をご紹介します。

平成19年から22年にかけて日高管内で実施された

1,252件の子宮頸管スワブ検体を用いた調査では、

細菌もしくは真菌が検出されたのは59%、

検出されなかったのは41%という結果でした。

検出された病原体の内訳は、連鎖球菌の一種である

Streptococcus equi subsp. Zooepidemicusが45%、

Escherichia coli(大腸菌)が11%、

Streptococcus equi subsp. Zooepidemicus以外のグラム陽性菌が9%、

Escherichia coli以外のグラム陰性菌が5%、真菌が1%でした(図1)。

また、細菌が検出された検体の21%からは

2種類以上の細菌が検出されました。

 

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図1 検出された病原体の内訳(H23生産地シンポの抄録を改変)

 

(つづく)