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育成馬ブログ 生産編⑦(その2)

「感染性子宮内膜炎」について

 

○抗菌薬の選択(我が国の実態)

 

第28回日本ウマ科学会学術集会でイノウエ・ホース・クリニックの

井上裕士先生が「生産地における抗菌薬療法の実態と課題」という

タイトルで発表した内容を引用します。

 

「一般的に発症した細菌感染性疾患に対し、

その感染部位からサンプルを採材し、原因菌を同定、

抗菌薬の感受性を確認してから患馬に投与することは理想的であるが、

細菌の培養、同定には時間がかかり、

検査自体が畜主に経済的な負担を負わせることも鑑みて、

ほとんどの場合、その症状から経験的に抗菌薬を選択している。」

 

この記載のとおり、我が国の感染性子宮内膜炎の治療においては、

その都度綿棒によるぬぐい液検査(子宮スワブ)および

薬剤感受性試験(どの抗菌薬が病原菌に効果的であるかを判定する検査)が

実施されているわけではなく、

臨床獣医師が経験的に抗菌薬を選択しているのが現状です。

 

 

感染性子宮内膜炎の治療(日高での調査)

 

前述のNOSAI日高の調査では、感染性子宮内膜炎の治療には

ペニシリンとストレプトマイシンの合剤が地域によって3%~96%、

アンピシリンが9%~94%、結晶ペニシリンが17%、

セファゾリンが8%、ゲンタマイシンが5%~6%使用されていました。

子宮頸管スワブ検体から検出された病原体で

最も多かったStreptococcus equi subsp. Zooepidemicusは

ペニシリン系抗菌薬に高い感受性(殺菌効果)を示し、

他の薬剤に対しても耐性がほとんど認められないことから

薬剤感受性試験は実施されておらず、

Streptococcus equi subsp. Zooepidemicus以外の細菌に対する

薬剤感受性試験の結果が示されています(図2)。

 

Photo_3

図2 S. Zooepidemicus以外に対する薬剤感受性

(H23生産地シンポの抄録を改変)

 

米国では、馬病院内にラボラトリー(検査室)が設置され、

ほぼ全症例で子宮スワブ検体の細菌培養検査および

薬剤感受性試験が実施され、その結果が臨床獣医師に

フィードバックされるシステムが構築されていました。

次回(来月)はその詳細をご紹介いたします。

 

(おわり)