育成馬ブログ 生産編①(その2)
●1歳馬のセールス・プレップについて(その4)
○グルーミング(手入れ)
ウォーキングマシンによる運動が行われない日は、
念入りなグルーミング(手入れ)が行われていました(図3)。
中でも最も力が入れられていたのが、ゴムブラシで全身を強く擦ることで、
古い体毛をできるだけ抜き、皮膚の血行を促していました。
最初の1週間は変化に気づかないレベルでしたが、
2~3週間続けていると明らかに新陳代謝が良くなり、
自然な艶が出てきました。
そのほか、セリの直前にはトリミングが行われ、
たてがみがきれいに整えられ、耳毛や距毛は短くカットされました。
図3 セリ上場馬のグルーミング(手入れ)
○セールス・プレップにおける日米の考え方の違い
育成牧場で行われることが多いわが国のセールス・プレップと異なり、
生産牧場で行われるケンタッキーのセールス・プレップでは、
考え方が異なるように感じました。
すなわち、日本ではセールス・プレップが“後期育成の入り口”と
位置づけられ、ランジングを行うなど馬を従順にしていくことで
ブレーキングへの移行をスムーズにするという意図があるのに対し、
米国のセールス・プレップは“中期育成の延長”という考え方で、
放牧時間を極力短縮しないなど1歳馬の自然な成長を
促したいという意向が感じられました(図4)。
どちらにもメリットとデメリットがあると思いますが、
わが国においても生産牧場でセールス・プレップを行う際には、
ケンタッキーの自然な成長を促すやり方を
参考にしてみるのも一考の価値があるのではないでしょうか。
図4 日米でセールス・プレップの位置づけが異なる
(おわり)