育成馬ブログ 生産編②(その1)
●ケンタッキーの馬産
今回から「ケンタッキーの馬産」について紹介していきたいと思います。
まず今回は、広い米国の中でもなぜケンタッキーが生産の中心なのか、
また馬産全体の日本との違いについてお話します。
○米国のサラブレッドが生まれてから出走するまで
米国のサラブレッドが生まれてから出走するまでの流れですが、
生産牧場で1歳の夏まで過ごし、
ブレーキングが行われる1歳の秋から育成牧場に移って調教される点は
日本と同じです(図1)。
異なるのは、競走馬としてデビューした後、
JRAでは美浦もしくは栗東トレーニング・センターで調教され、
レースのある週末のみ競馬場に行くのに対し、
米国ではレースが開催される競馬場で調教が行われている点です。
JRAの函館や札幌競馬場開催時の滞在競馬、
もしくは地方競馬と同じ状況だと言えばイメージし易いかと思います。
図1 サラブレッドが生まれてから出走するまで
○なぜケンタッキー州が最大の馬産地なのか?
米国では毎年約2万頭のサラブレッドが生産されていますが、
中でもケンタッキー州は最大の馬産地であり、
約12,000頭が生産されています(図2)。
これは日本全体の生産頭数の約2倍にもなります。
では、広い米国の中でもなぜケンタッキー州が馬産に適しているとされ、
サラブレッドの生産が盛んに行われているのでしょうか?
まず1つ目として、この地には「ライムストーン」
と呼ばれる石灰岩の地層が存在し、土壌中にカルシウム分が供給され、
牧草中のミネラル分が豊富になり、馬の骨が丈夫になることが挙げられます。
また2つ目として、ケンタッキーブルーグラスという
馬の放牧地に適した牧草が自生していたことも挙げられます。
さらに3つ目として、夏は暑くなり過ぎず、
冬は寒くなり過ぎない、馬に適した気候が挙げられます。
ケンタッキー州の牧場地帯の中心であるレキシントンは、
日本でいうと新潟市と同じ緯度にあります。
最後に4つ目として、東海岸に位置していることが挙げられます。
米国東海岸にはニューヨークなどの大都市があり、
経済の中心となっていることから馬主が集まりやすいという利点があります。
図2 広い米国の中でもケンタッキー州が最大の馬産地
(つづく)