育成馬ブログ 生産編②(その2)
●ケンタッキーの馬産
○馬産全体の違い
馬産全体の違いについて説明します(図3)。
日本の生産牧場では牧場が繁殖牝馬を所有する
自己所有馬の割合が多いのに対し、
米国では馬主が生産牧場に預託料を支払って繁殖牝馬を預ける
預託馬の割合が多いです。
私が研修したダービーダンファームでは、約8割の馬が預託馬で、
自己所有馬は2割しかいませんでした。
また、日本の生産牧場には採草地を有し、
そこで作った自家製の乾草を馬の食用に使用していますが、
米国では採草地がなく牧場の土地を目一杯使って広い放牧地として利用し、
そこで作られた乾草は食用としては使用せず敷料として使用し、
麦稈代を節約していました。
さらに、日本では種牡馬はスタリオンステーションとして独立した
種馬場で繋養されているのに対し、
米国では大手の生産牧場の中に種牡馬厩舎および種付場が作られており、
種牡馬はそこで繋養されていました。
また、日本の牧場の従業員はほとんどが日本人ですが、
米国ではヒスパニックと呼ばれる中南米からの移民がほとんどでした。
そのため、ほとんどのマネージャーが英語だけでなく
スペイン語を話せる必要がありました。
図3 馬産全体の違い
○放牧地内で乾草を作り、敷料として使う
米国の牧場には採草地がなく、
牧場の土地を目一杯使って広い放牧地として利用していました。
自家製の一番乾草を採った後、馬を放牧し、
その後は掃除刈りで維持するという草地管理を行っていました。
放牧地内で作製された乾草は、
食用にするのではなく敷料とすることで購入する麦稈の量を減らし、
節約していました。
なお、放牧地にはペレニアルライグラス、ケンタッキーブルーグラス、
オーチャードグラスがミックスされた種を
春と秋の2回播いていました(図4)。
図4 放牧地内で乾草を作り、敷料として使う
次回は繁殖牝馬の飼養管理について述べたいと思います。