育成馬ブログ 生産編③(その2)
●繁殖牝馬の飼養管理
○分娩前の運動(GPSを用いた調査)
ケンタッキーでは分娩前に繁殖牝馬が放牧地内をどのくらい運動しているか、
GPS装置を使って調査してみました(図3)。
その結果、24時間放牧の群では、
移動距離が1日7.6km程度であったのに対し、
昼放牧群では2.4km程度まで移動距離が減少しました(中央値)。
参考までにJRA日高育成牧場では
昼放牧時の移動距離は2.5km程度とケンタッキーと同等ですが、
ウォーキングマシンを使用した運動でさらに2.5km程度常歩しているため、
合計では5.0km程度歩いているという計算になります。
次回詳しく述べますが、米国では分娩時に積極的に介助するため、
分娩前に運動を負荷して筋肉を維持しておくという考えには
至らないのかもしれません。
反対にJRA日高育成牧場では
分娩時になるべくヒトが介助しない“自然分娩”を推奨しているため、
運動を負荷して分娩時に必要な筋肉を維持しています。
図3 分娩前の運動(GPSを用いた調査)
○繁殖牝馬の飼葉
繁殖牝馬の飼葉は、
タンパク質が14%の大粒のペレットが使用されていました。
詳しい成分については図4に示したとおりです。
朝と夕方の1日2回4ポンド、約1.8kgこのペレットを与えるのが基本で、
繁殖牝馬のボディコンディションスコアに応じて量を増減させていました。
分娩後の3日間はふすま、スイートフィード、コーン油を混ぜて
お湯でふやかしたブランマッシュを与えていました。
図4 繁殖牝馬の飼葉
次回は分娩と交配(種付)について述べたいと思います。