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育成馬ブログ 生産編⑧(その2)

前回(生産編⑧ その1)に引き続き、

今回もJRA日高育成牧場での冬期の飼養管理方法についてお話します。

 

○血液検査上の数値の違い

 

血液検査では、昼夜群において腎臓の機能の指標である

血中尿素窒素(BUN)の有意な上昇が認められました(図4)。

BUNの値は、生理基準値を上回ることもあり、

昼夜群では脱水が起こり腎血流量が減少していた可能性が疑われました。

このことから、冬期に昼夜放牧をする際には、

放牧地内の水桶の凍結を防止するなど

脱水に注意する必要があると考えられました。

 

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図4 冬期に昼夜放牧する際には脱水に注意する

 

○体温

 

体温は馬房内に収容した際に測定しましたが、

図5に示すように昼夜群で有意に低い期間がありました。

このことは基礎代謝の低下を意味しており、

寒い野外で長時間過ごす昼夜群には何らかの保温処置

(馬服の着用やシェルターの設置など)が必要と考えられました。

 

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図5 昼夜群では体温が低くなり基礎代謝が低下する

 

○厳冬期に昼夜放牧する際の注意点

 

2年間にわたる調査の結果を踏まえて、

厳冬期に昼夜放牧する際の注意点をまとめます(図6)。

まず、運動量を増やすため、

放牧地の四隅にルーサン乾草を撒くなどの工夫をすることが重要であり、

さらにウォーキングマシンを活用することで

夏と変わらない運動量を確保できます。

また、夜中に快適に眠れるように、

放牧地内にシェルターや風除けを設置し、乾いた寝藁を敷くことで、

子馬に必要な成長ホルモンの分泌を促すことができると考えられます。

さらに、水桶が凍ると脱水を起こしてしまうため、

電熱線入りのウォーターカップを設置するなど

水桶の凍結防止措置が重要です。

また、基礎代謝の低下を防ぐため、

馬服を使用するなど子馬を保温する措置が有効ではないかと考えられます。

これらの点に注意しながら、

現在JRA日高育成牧場では厳冬期にも全頭昼夜放牧しています。

また新たな知見が得られましたら、本ブログでご紹介したいと思います。

 

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図6 JRA日高育成牧場で厳冬期に注意している点のまとめ