育成馬ブログ(日高⑥)
○2019年JRA育成馬展示会 調教VTR公開のお知らせ
4月8日(月)、この時期にしては肌寒い風が吹いてはいたものの、晴天に恵
まれた中で日高育成牧場の育成馬展示会が開催されました。
ご来場いただきましたお客様には、この場を借りて心より厚く御礼申し上げます。
当日行われた騎乗供覧の映像は、4月2日(火)に宮崎育成牧場で行われました
育成馬展示会で撮影されたものと併せて公開されましたので、お知らせ致します。
それでは、当場の騎乗供覧の中で一際目を引いた2頭をピックアップして
紹介します。
2班の3組目に登場しましたNo.1 タキオンメーカーの17(父アルデバラン)
とNo.15 ニシノミラクル(父キズナ)です。
前者は昨年の2歳オープンききょうSの優勝馬イッツクールの全弟、後者は新
種牡馬キズナの産駒。いずれもコーナー中間からスピードに乗り、直線はピタ
リと馬体を併せて最後までハナを譲らずフィニッシュラインを駆け抜けていき
ました。叩き出したタイムは最後2ハロン、1ハロンともに当日の1番時計。将
来を期待せずにはいられません。
左:ニシノミラクルの17(父キズナ)、右:タキオンメーカーの17(父アルデバラン) 写真提供:田中哲実氏
本年のブリーズアップセールは4月23日(火)に中山競馬場で開催されます。
22日(月)の前日展示会も併せて皆様のご来場を心よりお待ちしています!
○乳酸値で振り返る今年の騎乗供覧
4月8日(月)に行われました日高育成牧場の騎乗供覧では、多くの馬が無理
に追われることなく、余力を持ったままの走行をお見せできたのではないかと
思います。
これまでの当欄でもご紹介してきたように、当場では強調教の直後に乳酸値
を測定し、個々の馬の調教負荷の程度や有酸素運動能の把握に努めています。
展示会当日の調教直後にも全頭の乳酸値を測定しましたが、その数値を見ると
各馬にどの程度の負荷がかかっていたのか推測できます。
グラフは各馬の走行スピード(最後2ハロンの平均値)と乳酸値の関係を昨年
2018年(青丸)と本年(橙丸)で比較して示したものです。ご覧いただくとわ
かる通り、ほぼ同条件で開催された昨年と比較して、全体的に走行スピードは
速く、乳酸値は低い傾向があります。このことから、「当場の育成馬は昨年同
時期よりも総じて有酸素運動能が高い」と捉えています。
その理由のひとつに、昨年に比較して調教強度を高めたことがあると考えて
います。
グラフは昨年と本年の1月から3月までの強調教後の乳酸値の平均値を示した
ものです。いずれもこの期間に計17回の強調教を行いましたが、本年の方が全
体的に高値を示しています。すなわち、年明け以降は昨年よりも高強度の調教
を実施したことになります。
なお、本年については17回のうち7回はトレッドミルを用いた強調教を実施
しました。トレッドミルの調教メニューは個々の馬の乳酸値に合わせて設定し
ていますが、最も強度が高い馬のキャンター調教は6%の傾斜で13m/s(ハロ
ン15.4)のスピードを3分実施するメニューでした。
このような強度を高めた調教を行った結果、現時点での有酸素運動能が高
まったものと推察されますが、あくまで馬の能力の一面に過ぎませんので、引
き続きBUセール当日の騎乗供覧のパフォーマンスや売却後の競走成績を検証し
ていきたいと思います。