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22-23育成馬ブログ(日高①)

本格的な育成シーズン突入

〇晴れた日を狙う
 広い採草地にロール乾草がまばらにある風景は夏の北海道ならではのものですが、今夏の日高地方では少し様子が違いました。例年より雨天の日が多く、牧草を刈り倒した後に採草地で乾燥させるために必要な「連続して雨の降らない数日間」を確保することが難しく、ロール乾草の姿がなかなか見られない夏でした。毎日天気予報とにらめっこしながら、セール準備に追われた牧場も多かったことと思います。

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写真1)ようやく収穫できた採草地のロール乾草

 日高育成牧場でも場内11面ある採草地の区画でチモシー乾草を採っていますが、本年は8月までに収穫できたのは2区画のみでした。9月上旬にようやく晴天が続いてくれたため、残りの区画は例年より1月以上遅れての収穫となりました。収穫遅れのため例年以上に牧草の質にもばらつきが多く、質の悪い一部は敷料としての使用になりそうです。馬に乾草として給与できる質の自家牧草が大きく不足しますので、価格の上昇している輸入牧草に頼ることが増えてきそうです。調べてみると、浦河町の6~8月の降水量も過去10年で最も多い年だったようです。連続4日間雨が降らなかった日は、6月上旬と7月上旬の2回のみで、連続5日間で雨のなかった日はなく、気候温暖化の影響なのかは分かりませんが改めて近年の天候の変化について考えさせられました。


〇騎乗馴致開始
 各市場で購買した育成馬は、育成牧場への入厩した時期に応じてグループを分けて管理しています。いずれの群も昼夜放牧を挟み、ナチュラルな状態で騎乗馴致を開始する方針ですが、どの組も順調に進んでいます。
7月に入厩したセレクションセール購買組やホームブレッドの組は、約1か月間の夜間放牧を経て9月上旬より騎乗馴致を開始しているところです。例年以上に入念なドライビングを取り入れながら、徐々に騎乗に移行できるようになってきているところです。

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写真2)放牧地でのドライビング
 

 8月末に入厩したサマーセール購買組も、夜間放牧を行いながらウォーキングなどの基本的な馴致を行い、9月下旬から本格的な騎乗馴致を開始しています。
 

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写真3)放牧初日、雨の放牧地を駆け回るサマーセール購買馬
 

 騎乗馴致と並行して、JRA育成馬の仕入れにあたる購買も行っていました。北海道セプテンバーセール(9月20~22日)で本年のJRA育成馬の購買を終了したわけですが、各競走馬市場の売却成績は今年も好調で、最大の取引頭数を誇るサマーセールでは平均価格も733万円となり、3年前(2019年)のサマーセール平均価格574万円と比較しても馬の価格が大きく上昇しています。JRAでは計74頭の1歳馬を各市場で購買しましたが、馬の取引価格が大幅に上昇していることを受け、本年のJRA育成馬の購買額も過去最高となり、平均購買価格でも約869万円と800万円を大きく超える額となりました。
 下見を含めて本年の全上場馬を見た感想として、価格だけでなく平均的に馬の質も上昇しているという印象をうけましたが、その中でも選りすぐりの素晴らしい馬が購買できましたので、これからどのように成長を見せてくれるか、今から来年のブリーズアップセールが楽しみです。

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写真4) セプテンバーセール入厩時の馬体検査