22-23育成馬ブログ(日高③)
JRA育成馬(日高)の調教始め
どの育成牧場でも休み明けの年始めの調教においては、「騎乗調教を落馬なく無事に行うこと」に気を使います。ただでさえ休み明けの調教は落馬も多くなりがちですし、年始早々人も馬も怪我をするわけにはいきません。というわけで、騎乗スタッフは正月気分から一気に仕事モードに切り替えさせられます。
複数頭を同時に調教していると、1頭の落馬が連鎖して周りの馬の興奮に影響を及ぼすことも珍しくありません。装鞍しない期間が数日続くとどうしても「カブる」馬が何頭かでてきてしまいます。どの育成牧場でもやっていることですが、当場でも必要に応じて騎乗前のランジングやトレッドミルを用いた運動を取り入れて、騎乗者の指示に集中している状態を確認しながらの調教を行いました。本年は日頃から積み重ねている集団調教の成果もあってか、昨年よりも落ち着いている馬が多く、人馬ともに満足なスタートをきることができました。
(写真)新年の調教
今シーズンの浦河地方は、昨年に比べて積雪量が少なく、1月中旬には雪ではなく降雨が観測された日もありました。さすがに気温は氷点下の日がほとんどで、地面が硬く凍結した場所も多いことから、近隣牧場からも放牧地の硬さを気にする声も聞こえてきています。当場の繁殖馬のなかにも挫跖様の症状を見せる馬もでており、春が待ち遠しいです。
当場の育成馬も、運動後には馬のリフレッシュを目的にパドック放牧を基本としていますが、冬季には悪天候やパドックや馬道の凍結により、放牧を中止せざるを得ないこともあります。本年は除雪作業の頻度は少なくて楽ではありますが、凍結時には各所に砂や融雪剤を撒いたりと手間もかかるため、そのような心配もせずに放牧できる宮崎育成牧場の温暖な環境がうらやましくもあります。
(写真)凍結箇所には融雪剤が欠かせません
さて、育成馬の調整具合はといいますと、馬の動きにも格段に力強さがでてきており、坂路調教でも隊列を崩さず楽に55秒/3Fを切るようになりました。これから徐々に運動負荷をかけていく予定ですが、それに先立ち、現状の調教進度の把握を目的に、今シーズン初めての坂路調教後の乳酸値測定を行いました。まだ、強い負荷は課してない段階ではありますが、毎日の乗り込み量を増やした成果もあってか予想どおり昨年の同時期と同等かそれ以上の体力を確認できています。さらに足元のトラブルも少なく、いつでもスピード調教を開始できる態勢が整いました。今後の調教で、個々の馬の走りがどのように変わってくるのか非常に楽しみです。
(写真)乳酸値測定の様子
今回も屋内1,000m坂路馬場での調教の様子のリンクを貼りました。本年意識して取り組んでいる馬と馬の前後左右の距離に注目してご覧ください。
https://youtu.be/-LSTOqtldIs
(動画)坂路調教の様子(1月中旬)