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23-24育成馬ブログ(日高②)

まっすぐ走れる馬を作る!

 毎日寒くなってまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか。9月に騎乗馴致を開始した60頭の育成馬たちの調教は順調に進み、現在800m馬場を2周した後、坂路を24秒/F程度で1本上がってくるメニューを消化しています。昨シーズン導入した速歩でのドライビングの効果により、初めて坂路入りした際から馬がまっすぐ走れ、きれいな隊列での調教を行うことができています(写真1、動画1)。今回はその取り組みについてご紹介いたします。

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(写真1)今シーズン初めての坂路調教

https://youtu.be/UtbwNyje8bM
(動画1)今シーズン初めての坂路調教


 昨シーズンから我々は騎乗馴致段階で“速歩でのドライビング”を積極的に取り入れました(写真2、動画2)。まず、速歩のドライビングでは「左!」「まっすぐ!」「右!」「まっすぐ!」「左!」「まっすぐ!」「右!」・・・という風に、短時間で多くのコマンドを馬に出し続けることとなるため、馬が人にフォーカスし、人から出される命令にすぐに応えようと従順になる効果があると感じました。その結果、以前より人の言うことをきく馬が増えた気がしています。
 また、常歩よりも速いスピードでドライビングを行うことにより、馬が本当にまっすぐ進んでいるか、開き手綱の扶助を理解しているかが確認でき、結果として騎乗調教開始後にまっすぐ走れる馬が増えました。例えて言えば、自転車を運転する際に、ゆっくり漕ぐとフラフラしてしまいますが、ある程度のスピードを出し続けることでまっすぐな状態を維持できるのと同じ理屈です。スタッフたちには速歩で進む馬と同じ速さで移動しなくてはならないため苦労をかけましたが、そのおかげで走路での騎乗調教開始直後からまっすぐ走れる馬を作ることができました。

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(写真2)速歩でのドライビング

https://youtu.be/EmuFczpnADo
(動画2)速歩でのドライビング

 今シーズンは具体的に、「8の字」や「コの字」といった図形をきれいに描いてドライビングおよびその後の各個騎乗をするように指示しました。「8の字」のドライビングでは直線部分で左右のハミをあえてフリーにすることで、ハミが外れている状態ではひたすらまっすぐ前進していれば良いことを教えていきました(図1)。「コの字」のドライビングでは覆い馬場の出入口など馬が気をとられそうなポイントをあえてまっすぐに通過させることで、人の指示があるまではまっすぐ走り続けなくてはならないことを教えこみました。その結果、馬にとって“まっすぐ走り続けることがオフ”の状態を作ることができ、昨シーズンよりも更にまっすぐに走れる馬が増えたと実感しています。

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(図1)8の字の図形

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(図2)コの字の図形

   

 以上、今回は今シーズンの馴致段階での取り組みをご紹介いたしました。今後は800m馬場での手前変換、坂路での3列縦隊での集団調教などを教えながら、競走馬として必要な基礎体力を身につけさせていきたいと思います。今回の記事が普段育成牧場で馬を調教されている皆さんの少しでもお役に立てば幸いです。