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23-24育成馬ブログ(日高③)

集団での隊列調教について

 令和6年能登半島地震で被災された方々にお見舞い申し上げます。大変な年始になりましたが、日高育成牧場では例年通り地元の西舎神社への騎馬参拝で年が明けました(写真1)。調教中の人馬の安全と、ここから巣立っていった育成馬たちの活躍を祈願しました(写真2)。
 さて、60頭の今年の育成馬たちの調教は順調に進み、現在は800m周回馬場での2400mのステディキャンター(22秒/F程度)での調教をベースに、週2回は坂路に行き、1本目として2列縦隊で20秒/F程度で走り、2本目に3列縦隊で18秒/F程度で上がるというメニューを消化しています。当場では以前より集団調教を行っておりましたが、昨シーズンから一歩進んで3列縦隊での調教を取り入れました。今回はその取り組みについてご紹介いたします。

 

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(写真1)騎馬参拝の様子

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(写真2)人馬の安全と育成馬たちの活躍を祈願しました

  

 馬群の中で落ち着いて走れることは競走馬として必要な能力であることは疑いようのないことだと思いますが、新馬戦からフルゲートになる昨今の競馬で勝つために集団調教の重要性はますます上がっていると考えています。我々は昨シーズンから“隊列の質を上げること”を目標に、坂路での集団調教時に3列縦隊での走行を取り入れました。それまでは1列縦隊もしくは2列縦隊で走行していましたが、騎乗スタッフのレベルが上がり馴致が上手くいき馬がおとなしいこと、2列縦隊の調教が楽々こなせるようになってきたことから更なる高みを目指し3列縦隊での走行を取り入れました。

 走行中に横の馬に蹴られる等のリスクを避けるため、具体的には18秒/F程度で馬が集中してまっすぐに走れることを確認してから行っています。このことに実戦により近い状況で調教できるようになり、レースに行って前後左右に馬がいてもひるまないで走る馬を作ることを目指しています。また、この時期の調教のタイム指示についてはステディキャンター(馬が落ち着く速度で安定した駈歩を続ける)となるように設定することで、馬が精神的に常に落ち着いた状態で調教を実施することを心掛けています。

 

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(写真3)坂路での3列縦隊のステディキャンター

https://youtu.be/MwmFfvWJDQ0
(動画1)坂路での3列縦隊のステディキャンター

 

 昨年の桜花賞からG1レースでのジョッキーカメラの映像が公開されました(動画2)。それを見て、私は昨年育成馬たちに課してきた調教が有効であると確信しました。4月に1600m周回馬場で行った3列縦隊での調教が、ジョーキーカメラに映っていたレース実戦での映像と酷似していたためです(写真4、動画3)。前後左右に馬がいる状況、前からキックバック(砂の塊)が飛んでくる状況を調教の段階で積ませることは、その後競走馬としてデビューする上で大きなアドバンテージになると思いました。正確なことは続けてみないと言えませんが、昨年はマリンバンカーカーマンラインの2頭が新馬勝ちしてくれました(2021年および2022年はそれぞれ1勝のみ)。

 

https://youtu.be/V8GuEbz3hAQ?feature=shared
(動画2)ジョッキーカメラ(リバティアイランド・桜花賞)

 

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(写真4)1600m周回馬場での3列縦隊の調教(昨年4月)

 

https://youtu.be/detJO_4al5c
(動画3)1600m周回馬場での3列縦隊の調教(昨年4月)

 

 以上、当場で取り組んでいる集団での隊列調教についてご紹介いたしました。今後は更に乗り込んで基礎体力を養成した後、スピード調教を経てブリーズアップセールの上場およびその先の2歳戦での早期デビューを目指してまいります。今回の記事が普段育成牧場で馬を調教されている皆さんの少しでもお役に立てば幸いです。