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24-25育成馬ブログ

馬の二次診療施設

〇 樋口徹先生慰労会の開催


 2025年1月18日(土)に静内エクリプスホテルで長らくNOSAI北海道家畜高度医療センターにおいて馬の二次診療に携わってきた、樋口徹先生の慰労会が盛大に開催されました。

 樋口先生は、我々JRA日高育成牧場はもちろんのこと、生産地の多くの馬たちの手術を執刀してこられ、日本の馬産業に多大な功績を残されました。また、手術などの診療だけでなく、後進の育成にも非常に熱心に取り組まれ、家畜高度医療センターにおける獣医学生の研修は馬の診療を志す獣医学生にとってあこがれの研修先であり、樋口先生の執筆されてきた『馬医者修行日記』は馬の診療に携わる獣医師のバイブルと言えるものでした。

 これからの我々馬獣医師たちは、樋口先生の意志を継いで、馬のためにより良い獣医療を目指していかなければならないと改めて感じたところです。

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(写真)樋口徹先生の慰労会の様子

〇 二次診療施設
 樋口徹先生の勤めてこられたNOSAI北海道家畜高度医療センターのような二次診療施設は、日本国内にいくつかありますが、生産地では、胆振地方にある社台ホースクリニック、日高地方にあるNOSAI北海道家畜高度医療センターが主な施設です。

 生死に関わる疝痛などが発生した際には、専門の知識と技術を持った外科医による外科手術が必要となりますので、これらの施設へ馬を搬入することになります。病気の種類にもよりますが、発生からなるべく早く手術を行うことは手術の成否や術後の回復にも影響を与えますので、必然的に牧場から近い二次診療施設に依頼することが多くなります。

 JRA日高育成牧場においても、最も近いNOSAI北海道家畜高度医療センターに受け入れていただいております。

 2015年から2024年までの10年間にJRA日高育成牧場からNOSAI北海道家畜高度医療センターに搬入した頭数は34頭(牡17頭、牝17頭)でした。年間で約3~4頭の馬が二次診療施設で手術を受けていることになります。その年齢や用途を見てみると、育成馬である1歳および2歳が大半を占めていました(図1)。JRA日高育成牧場では、繋養馬の多くが育成馬ですので、この結果は当然と言えますが、当歳や繁殖牝馬、さらには乗馬も手術をする可能性があることは忘れてはなりません。

 Photo_4(図1)JRA日高育成牧場の手術馬の年齢

 また、手術の種類をみてみると、大半は開腹術(主に疝痛に対する外科手術)でした(図2)。やはり馬を繋養している牧場にとっては、飼養管理を気を付けていても、疝痛の発生は避けられませんので、二次診療施設の存在は大きな助けとなります。また、それ以外の手術は運動器疾患に関わるものが多く、手術のおかげで調教ができるようになり、無事に競走馬となれた馬も多数います。改めて生産地の獣医師が馬産業を支えていることを感じました。

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(図2)JRA日高育成牧場の手術馬の手術内容

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