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24-25育成馬ブログ(生産③)

〇今年のJRAホームブレッドの生産状況について

 3月に入り、寒い日高地方も日中は暖かくなる日が増えてきました。生産牧場では子馬が続々と生まれており、可愛い子馬に癒されながらも、牧場の皆様としてはゆっくり眠れない夜が続いているかと思います。


 日高育成牧場でも、本年はJRAホームブレッド10頭が出産予定となっています。以下の表が今年の分娩予定馬で、これまでにすでに5頭が生まれました。ここまでは大きな問題もなく、無事にお産とその後の管理ができています。

Photo_3
2025今シーズン初産駒(ユッコ2025)誕生の様子

 

 今回は今年生まれたばかりの生産馬について少しご紹介します。まだ半数が分娩を待っている状況ですが、これまで生まれた子馬たちを見て、今からデビューが楽しみになっています。

25ユッコ2025 3/5撮影(15日齢)

 1頭目はユッコ2025(めす、父カラヴァッジオ、母父ハーツクライ)です。当牧場生産馬初のカラヴァッジオ産駒で、今シーズン最初に生まれた牝馬です。
 父カラヴァッジオ(カラヴァッジオ(USA):日本軽種馬協会)は、現1歳世代が本邦初年度産駒。2018年からアイルランド、アメリカで供用された後、JBBA日本軽種馬協会に導入され、2023年から日本での種付をスタートしました。現役時代は、デビューからG1競走2つを含む6連勝を飾った仕上がり早のスプリンターで、欧米にのこしてきた産駒からは、昨年の欧州最優秀3歳牝馬に選ばれたPorta Fortunaを筆頭にすでに3頭のG1競走勝ち馬が出ています。持ち込み馬としてすでに日本でデビューした産駒からも、GⅢ阪急杯を勝ったアグリなどが出ていて、日本の競馬の適性もすでに示しています。
 こちらの牝駒は、出生時体重が59㎏と生まれながらにしっかりとした馬体で、生まれた当日から馬房内で走り回るほど元気いっぱいです。集放牧の間も抑えるのが大変なくらい前進気勢にあふれているので、父の産駒らしいスピードを武器とした良い競走馬になってくれそうです。

25_2 プレイフォミラクル2025 3/5撮影(13日齢)

 もう1頭は新種牡馬産駒から、プレイフォミラクル2025(牡、父シャープアステカ、母父ヘニーヒューズ)です。
父シャープアステカ(シャープアステカ(USA):日本軽種馬協会)はこの当歳世代が本邦初年度産駒。現役時代はアメリカのダートマイル路線で活躍したトップマイラーで、G1競走1勝(2着3回)をはじめ重賞5勝をあげています。2019年からアメリカで供用開始されたのですが、初年度産駒は大活躍。34頭が勝ち上がり、2歳総合サイアーランキングで勝利数1位を獲得しています。その初年度産駒からは、G1ビホルダーマイルSを勝ったSweet Aztecaが出ており、また先月ドバイで行われたUAEオークス(GⅢ)を勝った3歳馬Queen Aztecaもこの父の産駒です。2024年からJBBA日本軽種馬協会に導入されていて、初年度は146頭もの種付を行いました。
 こちらの牡駒もとても元気で、弾むようによく歩く馬です。前述のカラヴァッジオの牝駒と比べると、現時点ではやや線が細いように見受けられますが、雄大な馬体を誇る父や母父ヘニーヒューズのように、ダート適性の高い筋骨隆々な馬体に成長するかもしれません。これからどんどん成長して変化していく子馬を観察していけることが、生産者としての楽しみだと思っています。

 当場の出産も折り返し地点に差し掛かりました。最後の1頭が生まれるまでのお産の安全と産後の親子の健康を祈りながら、毎日の管理に励んでいきたいと思います。