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25-26育成馬ブログ(日高①)

JRA育成馬の購買

 JRAでは毎年74頭程度の1歳馬をセリ市場で購買しており、そのうち54頭が日高育成牧場に入厩し、育成されます。今回は、セリ市場での購買についてご紹介したいと思います。

 JRAがセリで馬を購買する前には、競走馬資源調査の一環として、セリに上場される全頭を事前に検査しています。例えばサマーセールでは、当日セリが始まる前の 2 時間半という限られた時間で約 240 頭が展示されるため、その場で詳細な検査を行うことは至難の業です。そこで我々は、事前に上場馬が繋養されているコンサイナーを巡り、下見を行っています(写真1)。

 平日の朝から夕方まで、暑さや雨と闘いながらも 1 日あたり約 100~150頭、2 週間かけて 69 牧場を訪れ、上場馬の約 4分の 3 にあたる約 1,100 頭を検査しました。下見では、横見、前後見、歩き方、馬体のコンフォメーションを確認し、将来の競走能力への影響や疾病リスクがないかをチェックします。今年は特に常歩時の動きに注目しました。すなわち、肢を余計に振り回したりする無駄がなく、歩くスピードが速く運動神経に優れていそうな馬を優先しました。事前下見の後には、検査した馬の情報を擦り合わせ、購買候補馬を選定しています。下見にご協力いただいたコンサイナーの皆さんにこの場を借りて改めてお礼申し上げます。

Photo(写真1)コンサイナーでの下見の様子


 実馬の検査に加え、事前下見で購買候補となった馬の医療情報(レポジトリー)を日高育成牧場、宮崎育成牧場、本部生産育成対策室の獣医職員が手分けをしてチェックしています。このレポジトリーのチェックでも問題ないと判断された購買候補馬が、セリ上げに参加する対象馬となります。サマーセールまでで64頭(うち日高育成牧場は44頭)の馬を購買することができました。セプテンバーセールで10頭程度を購買する予定です。セリが活況なため購買に苦労しましたが、新種牡馬カラヴァッジオの産駒など、魅力的なラインナップを取り揃えることができました(写真2)。

Photo_2(写真2)落札した1歳馬(ケイアイセイラ2024、父カラヴァッジオ)

 JRAでは過去に馬学講座ホースアカデミーで1歳馬の購買に関する動画を複数作成しています。下記にリンクを貼り付けますので、ご視聴いただければ幸いです。

https://youtu.be/tXkHrehlfzQ?si=IilDRdD0ZFP-FluU
(動画1)1歳馬の馬体評価法とコンフォメーション

https://youtu.be/LKGy1s5GznE?si=_A2YKe7ulegCFHqV
(動画2)競走馬のコンフォメーション ~生産・育成牧場で使える馬体の見方~

https://youtu.be/iu6CSrqOnew?si=qO7F_X9MfDVOd_zk
(動画3)サラブレッドの血統

https://youtu.be/OOYJ5bAMYcI?si=gIChXXDSnvaB3atn
(動画4)レポジトリーでみられる所見について

 以上、今回はJRA育成馬の購買についてご紹介いたしました。今シーズンも9月10日から育成馬の騎乗馴致を開始いたします。今回の記事が皆さんの少しでもお役に立てば幸いです。