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2020年5月

2020年5月28日 (木)

大学紹介

臨床医学研究室の黒田です。

 本日は私が留学中のフランスの大学を紹介します。私は現在フランス南部のトゥールーズ市に在住しています。トゥールーズ市はガロンヌ川流域の都市で、人口47万人を持つフランス第5の都市です。美しい川とバラ色の都市と呼ばれるレンガの街並みが特徴的ですが、航空機メーカーエアバスの企業城下町でもあります。ですので、街のもう一つの名物として、イルカから名付けられた航空機機材を運ぶ大型の航空機、ベルーガがあります。

Photo_8        ガロンヌ川

Photo_9        ベルーガ

 留学先はÉcole Nationale Vétérinaire de Toulouse (国立トゥールーズ獣医学校)でトゥールーズ市の西側に位置する大学です。フランスにはパリ、ナント、リヨンと合わせて4大学しか獣医大学はなく、1学年は約120名、5年制を採用しています。今回はInnovations thérapeutiques et résistances研究室のAlain Bousquet-Mélou教授に留学を希望し、受け入れていただいています。研究室は、抗菌薬を中心とした薬物動態、耐性菌、食品衛生に関する研究を行っており、中でも抗菌薬の薬物動態を中心に学んでいます。

Photo_10        大学正面


 大学には乗馬センターが併設され、学生のみならず職員や研究者たちも乗馬を楽しんでいます。フランスらしく時間は自由で、研究の合間にちょっと馬に乗ってくるという感じです。都市内にありながら放牧地は広く、研究用の馬、牛、羊は昼夜放牧でのんびり暮らしています。また、大学内には警察騎馬隊の厩舎も併設されています。トゥールーズの中心部は歴史的な町並みで人気の高い観光地ですが、道が極めて狭く騎馬隊の役目はかなり重要とのことでした。

Photo_11        乗馬センター

Photo_12         放牧馬

 3月から2ヶ月以上続いていたフランスの厳しいロックダウンは徐々に緩和されつつあります。トゥールーズを含むオートガロンヌ県はパリなどと比較すると比較的患者が少ない地域ですが、それでもまだ県内に70人近い入院患者がおり、レストランなどの施設は開放されていません。ロックダウン中閉鎖していた大学の研究室も今週から再開していますが、学生の授業は秋までオンラインになると聞いています。私も早速挨拶に行きましたが、雑草が大変なことになっていますが、研究室の皆様も馬たちもみんな元気にしているようです。当分は人員を制限して実験を行うようで、私も午後のみの予定です。日本も緊急事態宣言が終了し、いよいよ緩和されていくと聞いております。何とか。世界的に改善して欲しいと願っております。    

低酸素トレーニング

運動科学研究室の向井です。

我々の研究室では、数年前から低酸素トレーニングの研究を進めています。低酸素トレーニングはヒトのアスリートでは数十年前から利用されており、研究も数多く実施されていますが、サラブレッドにおいては今までほとんど報告がありませんでした。

結論としては、4週間低酸素トレーニングをすると、サラブレッドの運動パフォーマンスや有酸素能力が大きく向上することが分かりました。ただし、うまく適応できる馬とできない馬がいるようにも感じましたので、応用する上ではその辺りをうまく見極め、オーバートレーニングにならないようにトレーニングの強度や量を調節していくことが必要かと思われます。

詳細については、2020年5月にPhysiological Reportsで公表されたこちらの論文(外部サイト)をご覧ください。 https://physoc.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.14814/phy2.14442(外部サイト)

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2020年5月27日 (水)

馬の腸内フローラ

微生物研究室の丹羽です。

最近、腸内フローラという言葉を目にする機会が増えてきました。

腸内フローラは、腸内に生息する様々な細菌の集団を意味しますが、「フローラ」はローマ神話に登場する花と春の女神フローラに由来します。

ヒトでは腸は、第二の脳と言われるまでに様々な働きがあり、腸内フローラがその腸に様々な影響を与えていることがわかってきています。実験室レベルでの結果ですが、性格にも影響を与えるとか・・・

馬は、ご存知のように草食動物であり大腸に生息する細菌を利用して食べた植物を分解し、栄養源としています。まさに、腸内フローラ無くしては生きていくことはできない動物なのですが、肝心な腸内フローラについては研究が進んでいるとは言えません。

現在、微生物研究室では馬の腸内フローラとその乱れによって引き起こされるクロストリジオイデス・ディフィシル感染症の調査・研究を行っています。

Flora_rembrandt 花と春の女神フローラ(レンブラント作, ca. 1654)

2馬の腸内フローラを構成する細菌達。色や形も様々です。馬の腸を彩る花々に見えますか?

 

2020年5月25日 (月)

競走馬総合研究所 紹介ビデオ

 
企画調整室の小野です。


新型コロナウイルスの影響で県外への移動自粛が続いていますね。例年ですと4月に入社した新人獣医師が研修する時期なのですが、今年はまだ予定が立たない状態です。また、各所からの見学もお断りしている状況です。いろいろな方にお会いできるいい機会なのですが、残念で仕方がありません。


そんな中、あれこれ整理をしているとYouTubeのjraofficalチャンネルに『競走馬総合研究所 紹介ビデオ』がありました。3年前に公開されたものです。約30分間とやや長めではありますが、研究所では何が行われているかがわかる内容になっています。

Youtube

jraofficialチャンネルには、過去のGIレース映像やインタビュー動画なども掲載されています。ぜひご覧ください。

2020年5月12日 (火)

オンライン講義

分子生物研究室の太田です。

 
競走馬総合研究所の重要な役割の一つに「獣医学教育」があります。
今年も多くの研究所職員が,全国の大学の特任教授や非常勤講師を務めており,学位論文の指導や講義を担当しています。
私も5年前から東京大学5年生の「馬臨床学」の集中講義を担当しています。
 
当初は4月上旬の予定でしたが,COVID-19の影響で,昨日と今日の2日間,3密とは無縁の農学部附属牧場(茨城県笠間市)からのオンライン講義に変更となりました。
開始と同時に緊急地震速報が鳴り響き,波乱の幕開けでしたが,無事に終了することができました。
授業そのものは,動画に多少の制限があること以外は普通にできるのですが,ひとりポツンと3時間も画面に向かって話してるとグッタリします。
対面の講義だと,小ネタを入れても学生さんの反応が見れますが,オンラインだと滑ってる気がして,だんだんテンションが下がってきます。
オンラインのメリットもありますが,やはり1日も早く日常が戻ってくることを願うばかりです。

馬事公苑で活躍していた名馬がのんびり余生を過ごしていたり,生まれたばかりのクリオージョ(南アメリカ原産の品種)の仔馬がいたり,少しだけ癒されて帰ってきました。

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