古くて新しい治療法:糞便移植
ついついお酒を飲みすぎた次の日は、二日酔いと共にお腹がゆるくなりがちな微生物研究室の木下です。
お腹の不調を訴えるのは私だけに限ったことではなく、いろいろな動物で観察される症状ですが、草食動物であるウマにとっては消化器に関係する下痢などの症状は、時に深刻な結果に繋がりかねない重要なサインになります。
ウマが下痢を発症する原因は様々で、給餌内容の変化や輸送によるストレス、あるいは投与された抗菌薬が原因になることもあります。
(私と違ってお酒が原因になることは、無い。。。)
下痢を発症しているウマに対しては、抗菌薬が投与されている場合は投与を中止し、対症療法として補液や整腸剤の投与を行うことが一般的ですが、健康なウマの糞便を経鼻的に腸管に接種する糞便移植という古典的な治療法も知られています。
糞便移植には、腸内における乱れた細菌叢あるいはウイルス叢を正常なものに引き戻す働きが期待されています。
近年では、人におけるClostridioides difficile感染症に対する糞便移植の有効性が認識されるようになり、ウマにおいても再注目されることが増えてきました。
もし、愛馬が下痢に苦しんでいる際には、古くて新しい治療法である糞便移植をぜひ検討されてみて下さい。
写真:糞便移植に使用するドナー糞便の用意