運動時内視鏡検査は優れた検査法!
こんにちは、カルガリー大学で研究留学中の運動科学研究室の高橋です。
先日のブログ(参照;本年3/24繋駕競走)において、私が留学しているカルガリーでは繋駕競走(トロット)がメジャーであることを書きました。競走馬と同様、トロット用に訓練された馬(トロッター)においても速い速度の調教が必要ですから、運動能力を最大限に発揮できないプアパフォーマンスは関係者にとって死活問題です。よって、トロッターにおいても四肢の怪我だけでなく上気道疾患がよく研究されています。下の写真のように内視鏡の機械を鞍にセットし、鼻から内視鏡を入れて運動時の上気道の様子をよく観察しています。
JRAのトレセンでもこの検査は導入しており、いわゆる「喉鳴り」の原因となる様々な上気道疾患を競走馬で診断しています。下の左の写真は正常の上気道、右の写真は披裂喉頭蓋ヒダ虚脱(矢印)という病気で、気道がかなり狭くなっています。この病気は安静時には分からず、強度の高い運動を負荷することで初めて見つけることができます。以前は不明だったこの病気も、運動時内視鏡が世に出てきたことで診断できるようになりました。
このように上気道の動きを日常的に観察するのはウマぐらいです。呼吸器を議論する学会でウマにおける運動時内視鏡での観察結果を報告すると、ヒトの呼吸器を専門にする先生方には大変興味を持っていただけることが多いです。それはヒトの運動時の呼吸器異常の解明にヒントを与えているからかもしれません。