Animal welfare
臨床医学研究室の太田です。
以前の総研は宇都宮市(運動科学研究室・臨床医学研究室)と下野市(微生物研究室・分子生物研究室)の2ヶ所に分かれて研究活動を行っていました。ですが,研究活動の効率化を図るため,2016年に現在の下野市に4研究室が集約されました。
本日,その宇都宮の総研跡地に,新たに「一般財団法人 Thoroughbred Aftercare and Welfare」が設立されることがJRAから発表されました。新団体の設立目的は,引退競走馬に関する取り組み(Aftercare)を着実に推し進めるとともに,併せて,馬のウェルフェア(Welfare)に関する理解促進などに取り組むことです。
後半部分の“Animal welfare“,しばしば日本語では「動物の福祉」と訳されています。みなさん,なんとなく聞いたことはあるけど,その定義を正しく理解できている方は少ないのではないでしょうか? “Animal welfare“とは,「動物を快適な環境下で飼育することにより,動物のストレスや疾病を減らすこと」を目標に,世界動物保健機関(WOAH)により,以下の『5つの自由』が提唱されています。
- 空腹と渇きからの自由
- 不快からの自由
- 痛み・損傷・疾病からの自由
- 恐怖と苦悩からの自由
- 正常行動発現の自由
これまで長年にわたり総研が取り組んできた研究テーマ(暑熱対策・医療技術の向上・事故防止対策・ワクチン開発など)は,まさに「競走馬の福祉の向上」に直結する内容です。今後もこれらの研究を継続するとともに,新団体TAWとも連携して「馬のウェルフェア」に対して正しい理解を広めていくことが総研の使命だと考えています。