分子生物研究室の坂内です。
8月27日~30日に札幌市で行われた、第40回アジア競馬会議に参加しました(写真1)。私自身は昨年のオーストラリア(メルボルン)での第39回大会に続き、2回目の参加となります。参加登録者は800名以上、アジアと言いつつも欧米からの参加者も多く、競馬産業の抱える課題や将来の発展について多角的に議論する会議です。
競馬の発展と一口に言っても、競走馬や人材の確保、ファンサービス、環境問題や気候変動への対策、違法賭事との闘い、公正確保などいろいろな切り口があります。今回のスローガンは、「Be connected, stride together(つながりを持ち、一緒に走ろう)」。各国の主催者や関係者が連携して、こうした様々な課題に団結して取り組む姿勢を打ち出したものです。
写真1. オープニング・セッションの様子
とりわけ私たち研究所が関係するトピックスとしては、暑熱問題や遺伝子ドーピングへの対策が挙げられます。総研では数年前から運動科学研究室を中心に暑熱対策に関する研究を進めており、パドックのミストやレース後のシャワー設備などが既に現場に導入されています。遺伝子ドーピングの問題についても、関連団体である競走馬理化学研究所を中心に研究が進められていることが紹介されました。私たちの行う研究業務は裏方ではありますが、今後の競馬産業を支える重要なものだということを、アジア競馬会議を通じて改めて感じたところです。
日本の競馬について騎手、調教師、生産者それぞれの立場から語っていただくセッションもありました。武豊騎手、クリストフ・ルメール騎手、矢作芳人調教師など多くの登壇者から、日本の競馬のレベルが向上したことを実感する声が聞かれ、さらに発展させるための前向きな議論が交わされました。
大会2日目の夜には、海外からのゲストに日本の文化を体験してもらうべく、札幌ドームで縁日と花火を中心としたイベントが開かれました(写真2)。ゲストから喜びの声が多く聞かれ、私自身もお祭りの雰囲気を存分に楽しみました。
写真2. ソーシャル・イベントの様子
閉会式ではフラッグセレモニーが行われ、今大会をホストしたJRAの吉田理事長からアジア競馬連盟のエンゲルブレヒト=ブレスゲス会長へ、そして次回開催地であるサウジアラビアジョッキークラブのバンダル王子へと連盟旗が渡されました(写真3)。サウジカップ創設をはじめとして、近年急速な発展を見せるサウジアラビアの競馬、きっと彼らがホストするアジア大会も素晴らしいものとなるでしょう。
写真3. フラッグセレモニー;JRAの吉田理事長(左)と後藤総括監(前JRA理事長;中)の見守る中、
連盟旗はブレスゲス会長からバンダル王子への引き継がれました。