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2025年9月

2025年9月26日 (金)

フランスの学会で発表してきました!

企画調整室の川島です。

 この度、フランスで開催された世界獣医麻酔・鎮痛学術会議にて、馬ではまだ使われていない新しい麻酔薬;レミマゾラムの効果についてポスターを使って発表してきました。私の臨床時代の成績にちょっと色をつけての発表でした。

 その内容は、静脈から投与して使うレミマゾラムがウマの体内でどのように代謝され、濃度が変化していくのかを調べたものでした。そして、私とは別の本会職員がこの新しい麻酔薬の使い方について口頭で発表し、2人で1セットのような形での発表だでした。

 結論から言うと、本静脈麻酔でもウマの麻酔はスムーズに実施できそうであること、本麻酔の特徴とも言える麻酔終了後のウマの目覚めの良さが特徴であることがわかり、今後の応用が期待されました。

 なんと、私はポスター発表部門で最優秀賞をいただきました。私自身は発表を評価された初めての報告となり、大変な驚きと感動に包まれた瞬間を経験しました。

Img_3224表彰式で演台に呼ばれる筆者

 私が配属されている企画調整室は、研究に関する事務を主に担う部署ですので、本来なら海外の学術集会で発表する機会はいただけないのですが、今回は上司の深いご理解により貴重な経験をさせていただきました。大変、感謝しております。

 今回の経験は、もちろん希少な薬物に関する情報を国内から発信するという重要な任務でありましたが、それだけでなく、どんどん国際的になっていく競馬事業に獣医師も関わる際の心構えと言いますか、場慣れする意味でもとても重要なものであったと思います。今後は、臨床現場で、この薬物を使ったより安全でスムーズな麻酔方法の確立が研究されることと思います。そこにも関わって行けたら獣医師冥利に尽きることでしょう。

2025年9月24日 (水)

微生物アート ~カラフルな細菌で描く芸術~

微生物研究室の木下です。

“微生物アート”という言葉をこれまでに聞いたことはありますか? 微生物アートとは、色素を産生するさまざまな種類の細菌を「絵の具」とし、寒天培地を「キャンバス」に見立てて描くアート作品のことです。

<色を持つ細菌!?>
私たちの身の回りには、赤、黄、紫など、まるで絵の具のような鮮やかな色素を作る細菌たちがいます。例えば、赤い色素を作る「セラチア菌」や、黄金色のコロニーを作る「黄色ブドウ球菌」などです。
これらの細菌は、紫外線や活性酸素から身を守るためといった理由から色素を産生しますが、この色素を利用して描くが微生物アートです。

描き方は繊細で、「白金耳(はっきんじ)」という専用の道具を使い、目に見えない細菌を寒天培地に植え付けていきます。描いた直後ははっきりとは見えませんが、これを適切な温度で数日間置くことで、細菌が増殖し、それぞれの持つ色が徐々に現れて美しい絵が完成します。

<作品紹介>
土壌から分離した赤い色素を産生する細菌を使用して、当研究室で抜群の絵心を持つ星野さんに競走馬をイメージして作ってもらった作品がこちらです。

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素敵な作品だと思いませんか?

インターネット上には、国内外の様々な方が描いた素晴らしい作品がたくさんあります。「微生物アート」、「microbial art」、「bacterial art」といったキーワードで是非検索してみてください!

2025年9月 5日 (金)

JRA総研サマースクール終了報告!!

企画調整室の岡田です。 

 夏の恒例イベント“JRA総研サマースクール”が今年も無事に終わりました。獣医学生インターンシップ(VPcamp)の一環として催される当研修では、全国の獣医系大学から馬の疫学に関心のある学生さん12名、臨床医学に関心のある学生さん12名の計24名に参加していただき、各コースそれぞれ5日間の学術プログラム、馬の飼育作業、および乗馬を経験してもらいました。

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       座学の様子                     馬のハンドリング実習

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    トレッドミルでの歩様講義              臨床実習(上手く巻けた?)

 獣医学生といえども実際に馬を使用した実習は少ないため、初めて馬に触れる参加者も多くいる状況でした。そのため、感染症診断法や臨床診断法以外の馬のハンドリングや手入れ、厩舎作業、装蹄見学といった部分も思いのほか学生たちに喜んでいただけたようです。

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     乗馬後は馬の汗を拭く          蹄の手入れも初めての体験(蹄油塗布)

 参加前は「研修生は互いに牽制しあって、きっとお友達にはなれないと思っていた。」という学生さんも、実習後は、「楽しい経験が共有でき、こんなに仲良く学生間で交流できるとは思いもしなかった。」と、研修を振り返っていました。

 学生たちの限られた時間の中でも熱心に質問する姿に感銘を受けました。彼らの学びに対する意欲が伝わってきてこちらも刺激を受けました。

 来年も開催する予定で今後もより良い研修にして行きたいと考えていますので、獣医学生さんはVPcampやJRA総研のお知らせに注意していてくださいね。

*写真の各人には掲載許可をもらっております。

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「終わった〜」と馬も一息。学生やスタッフ一同だけでなく馬たちも暑い中お疲れさまでした!