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2026年1月

2026年1月27日 (火)

宮崎県に行ってきました!

企画の桑野です。

先日、蹄病の講演会に講師で呼ばれて宮崎県の育成牧場に行ってきました。皆様、宮崎県に育成牧場があることご存知でしょうか? 実は、明治40年から昭和38年まで宮崎市内には地方競馬場があったのですが、経営難から閉鎖され、その後JRAが引き取り、競走馬育成のモデル牧場となるべく調教技術の改良や研究開発が実施される育成牧場となりました。

 なぜ宮崎県で育成牧場が開設されたのでしょうか? 諸説ありますが、一番の理由は冬でも雪がほとんど降らない比較的温暖な宮崎でしっかり馬をつくることができると考えてのことのようです。確かに、先日は、日本に数年に一度の大寒波が到来した一日だったのですが、ここ宇都宮の日常の寒さと同じ程度で、私には耐えられる寒さでした。そればかりか、その前後の曜日は、ポカポカ陽気で暖かく感じました(地元の方々は寒いって言っていましたが)。

Img_4714宮崎育成牧場での調教風景

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気持ち良さそうにこちらを見つめる育成馬

 ところで、冬は北の大地から温暖な南へ、夏は涼しい北へ戻して育成することを二元育成と言います。二元育成は、子馬の成長にとってメリットがあるとされる調査結果もあるのですが、その一方で、近年の温暖化が進んだ状況では、雪を避けられる施設を作りさえすれば、南へ移動させなくても北で冬季育成は可能とのことから、二元育成の人気にやや陰りが...。むしろ子馬をなん度も移動させる方が、リスクは高いと判断されているかもしれません。とはいえ、その馬の体質など適性に応じた育成方法が選べると考えると、育成方法にバリエーションがあることは良いことです。

 さて、宮崎県の都井岬には日本在来種の一つ御崎馬(みさきうま)が生息しています。国の天然記念物である御崎馬ですが、人の管理下にあり個体識別や健康管理も実施されており、完全な野生馬とは言えません。なんと言っても人に慣れており、結構な距離まで向こうから近寄ってきてくれます。奈良のシカさんと違うのは、餌やりとお触りは禁止ってことでしょうか。触られるのは慣れていないので、噛みつきますよ〜っと注意書きが貼られていました。ただ、陽気の良い丘の上で群れている御崎馬たちは平和の象徴で、こんな原風景がいつまでも続くといいなと心密かに祈る思いでした。

Img_4761御崎馬は、生息総数もきちんとカウントされている

Img_4786 人懐こい御崎馬は人が近づいても逃げません。

Img_4832御崎馬の勇姿


2026年1月16日 (金)

美浦トレセンへの骨シンチグラフィ導入

臨床医学の野村です。

 昨年の10月に運用を開始した美浦トレーニング・センターの新しい競走馬診療所には、馬の骨シンチグラフィが実施できる施設が整備されました(図1)。核医学検査が、日本で初めて競走馬診療の現場に導入されたことになります。

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図1. 美浦トレセンに設置されたガンマカメラ。 

体内に投与されたテクネチウム99mが放出するガンマ線を受け止めて画像化する。

 核医学検査は、放射性同位元素を用いて体内の状態(機能)を画像化する診断技術です。骨シンチグラフィは骨の代謝状態に着目した検査で、テクネチウム99mという放射性同位元素を用いて実施されます。骨は、普段から骨形成と骨吸収を繰り返すことで新陳代謝していますが、腫瘍や骨損傷などの要因によりこのバランスが崩れることがあります。このバランスの変化を検出するのが骨シンチグラフィで、日々のトレーニングにより骨の微細な損傷と修復を繰り返している競走馬においては、骨代謝の変化、特に骨形成の亢進を検出することで、レントゲンでは判別できないような疲労骨折の診断にも有用と考えられています。また、身体が大きいためにX線検査やCT検査が実施できない上肢部や頸部・骨盤部の骨を評価できる点も大きなメリットとなります。

 この馬の骨シンチグラフィですが、海外では1970年代に開発されて現在も一般的に行われている検査で、決して新しい検査法ではありません。ただ、日本への導入については法的に許可されない時期が長く、2009年に動物に対する核医学検査が許可された法整備を契機に、いくつかのハードルをクリアしてきました。この検査方法の運用開始は、獣医療の発展と馬の福祉向上に向けた働きかけを続けてきた多くの先人たちの尽力の延長上に現在があると言えます。

 これはいわば関係者にとって“悲願”とも言える到達点でしたが、臨床現場としてはこれからがスタートです。CTやMRIなど画像検査のオプションが増えていく現状にあって、それぞれを「診断技術」として確立することは一朝一夕に達成できることではありません。この検査が多くの競走馬の福祉とパフォーマンスを支える一助となるよう、まずは目の前の1頭に向き合っていきます。

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診療馬での実施に向けて、目下検査運用を調整中

2026年1月 6日 (火)

新年あけましておめでとうございます。今年は午(ウマ)年だ!

企画の桑野です。

さあ、午年が始まりましたね。

本年も競走馬総合研究所(JRA総研)のブログをどうぞご贔屓に、お願い申し上げます。

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総研の受付:今年のターフィー君(ダルマ姿)がお迎えします。

 さて、今年は60年に一度しか巡ってこない丙午(ひのえうま)の年です。丙午の特徴は、「停滞を打ち破り、物事を一気に進める推進力、新しい挑戦に適した年」と解されるそうで、なんだかおめでたいですね。午年ともなれば、JRAには追い風の年で、さらに丙午となればビッグホースの誕生の予感も!

 幸先良く、栃木県の地元紙;下野新聞にも、年初から「天高くウマ駆ける年2026 とちぎ馬物語」なる特別ページが掲載され、ここ競走馬総合研究所など馬に関わる施設や団体が紹介されました。そこに掲載されていたのですが、栃木県茂木町にはかつてJRAダービー(1971)に出走したタサブローオー、オークス(1976)に出走したタサノウインの育成を担当した牧場があったそうです。実は、現在でも本会の競走馬の放牧先かつ育成場になっている現役の競走馬育成牧場が芳賀郡にあります。

 忘れられているかもしれませんが、栃木県の県庁所在地宇都宮市には、かつて宇都宮競馬場なる地方競馬場や本会の付属施設だった育成牧場があり、もっと遡ると明治時代には、軍馬補充政策を契機に那須地方を中心に馬の生産拠点が複数存在しました。栃木県は、馬と関わりの深い県の一つです(知名度ないでしょうが…)。

 我々の研究施設の存在も、そのような関わりの延長上にあり、かつて栃木県が活発な馬産と育成の拠点だった歴史を象徴しているのかもしれません。

 あらためて午年である2026年に希望を膨らませ、この1年も良い年になりますよう祈念いたします。

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  2026年も、JRAは毎週走り続けます!