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2026年2月12日 (木)

世界の馬たちの健康を科学の力で守る—WOAH(国際獣疫事務局)馬インフルエンザワクチン株選定専門家会議の議長就任

みなさんこんにちは。分子生物研究室の根本です。

 今回は、動物衛生の国際機関である「WOAH(World Organisation for Animal Health、国際獣疫事務局)」が主催している、馬インフルエンザワクチン株選定専門家会議(Expert surveillance panel on equine influenza vaccine composition)について紹介します。

WOAHウェブサイト(外部リンク)

https://offlu.org/equine-influenza/

Photo_8*会議に参加する各国の馬インフルエンザの専門家

 WOAHは、パリに本部を置く動物版のWHO(世界保健機関)のような組織です。本会議の役割をひとことで言うと、世界で流行している馬インフルエンザウイルスの流行状況を毎年分析し、世界中の馬たちに接種する馬インフルエンザワクチンの「中身」を決めることです。現在のワクチンの中身が有効と判断されれば継続、そうでなければ中身を変更することを推奨します。

 記憶に新しい方も多いかと思いますが、昨年(2025年)は、熊本や十勝地方で17年ぶりに日本での馬インフルエンザの発生が確認されました。ニュースを聞いて、大変なことになるのではと心配された方も多かったと思います。しかし結果としてこの流行はサラブレッド競走馬には広がらず終息へと向かいました。 その要因のひとつとして、現在のワクチンが実際に流行したウイルスに対して有効であったことが挙げられます。ウイルスは常に変化していますが、長年に渡って総研、そして本会議は、世界中で流行しているウイルスに対して現在のワクチンが有効であるかを評価しています。実際に現在のワクチンが2025年に日本で流行したウイルスに対して有効であったこの経験は、研究者として大きな自信となると同時に、改めてその責任の重さを痛感する出来事でした。近年は日本の競走馬が頻繁に海外遠征を行っており、馬の国際間移動が非常に活発です。馬インフルエンザは欧米を中心に流行しており、また非常に伝播力が強い病気ですので、国境を超えたウイルス対策が不可欠になります。

 今年からこの馬インフルエンザワクチンに関する国際会議の議長になりました。これまでの議長はイギリス、アイルランドの研究者であり、英語ネイティブではない日本人の私が3代目として任されたことは、非常に光栄なことであると同時に、気が重いのも正直なところです。ですが、世界中の馬たちの健康のために、縁の下の力持ちとして世界中の馬インフルエンザの専門家と協力し、議長として実りのある議論ができるように少しでも貢献できればと思います。