夏の馬温泉所始動!

こんにちは。

今回は、久しぶりに馬温泉所spaの話題です。

今週に入り、函館競馬場の在厩頭数も一気に増えてきました(来週から開催ですからね)。

そんな中、今週の水曜日から競走馬の温泉spa利用が始まりました。

そこで、今回は競走馬が初めて温泉spaに入るところをご紹介します。

まず、浴槽の湯量は、通常の半分にします(急に深いところに入ると驚きますからね)。

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upwardright このくらいで、ちょうど半分の深さです。

そこに緊張している馬を、なだめすかして入れます。

馬が少し落ち着いてきたところを見計らって、柄杓でお湯をかけます。

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upwardright かなり緊張していますね。

そのお湯に慣れてきたら、いよいよ温泉spaシャワーの開始です。

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upwardright 表情にちょっと安心感が出てきました。

写真cameraのように、初めての馬では馬栓棒(ませんぼう)は付けません。

馬栓棒というのは、馬が前に動かないようにする棒のことです(4月10日の「はじめまして、

函館競馬場です!」の文中3枚目の写真を参照してください)。

万が一馬が暴れた場合、すぐに浴槽から出せるようにするためです(実際、暴れる馬はほと

んどいませんが、念のためです)。

ほとんどの馬は、1回目の入浴は緊張したまま終了しますが、2~3回目には幸せそうな表情

を浮かべるようになります。

ちなみに、この日に入浴を始めたもう1頭は、初めから余裕の表情を浮かべていました。

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upwardright 初めてだけど、気持ちいい~。

今後、多くの競走馬にどんどん活用してもらえたらと思います。

函館競馬開催に向けて

こんにちは。

函館競馬場への入厩が始まり、1週間が経ちました。

6月6日(金)現在、85頭の競走馬が入厩し、函館開催に向けて調教を始めています。

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残念ながら、馬温泉所spaはまだ始動していません・・・。

今回は、函館競馬場の調教風景を見ながら、馬場のお話をしましょう。

函館競馬場には、他の競馬場にはない馬場があるってご存知ですか?

普通、競馬場には芝馬場とダート馬場がありますよね。

函館競馬場には、この2つの馬場に加えて「ウッドチップ(木屑)」馬場があるんです。

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upwardright これが、「ウッドチップ」馬場です。ちなみに、本日の函館はrainです。

「ウッドチップ」馬場は、もともと東西のトレーニングセンターに設けてあり、多くの競走馬が

日々の調教に活用しています。

クッション性がよく、肢(特に骨)に負担がかからない馬場として知られています。

函館競馬場は、函館開催が終わってからも札幌開催に向けて競走馬の調教が行われるた

め、負担の少ない「ウッドチップ」馬場が導入されています。

次にご紹介するのは、「角馬場」です。

「角馬場」は、函館競馬場に限らず、多くの競馬場に設けてあります。

「角馬場」は、主に準備運動をする目的で利用されており、競走馬達はここで十分にウォーミ

ングアップをしてから、それぞれの馬場に入っていきます。

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upwardright 手前から、芝馬場、ダート馬場、ウッドチップ馬場です。

   その向こう側(競走馬がいる辺り)が「角馬場」です(ちょっと分かりにくいですが)。

   「角馬場」にもダート(1周400m)とウッドチップ(1周500m)があります。

ところで、函館競馬場の調教風景としてご紹介しないわけにはいかないものが2つあります。

その1つは、競馬場のスタンドから見える函館山です。

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upwardright 臥牛山(牛が寝そべっているように見える)とも呼ばれ、函館のシンボル的存在です。

天気のいい日は、きれいに見えますよ。

もう1つは、飛行機airplane!?

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upwardright 羽田空港からやってくる、ANA4781・AIR DO81共同運航便です。

午前8:00ちょうどに飛んで来ます。

ご覧のように、函館競馬場の真上を飛んで函館空港に着陸していきます。

競走馬達は、あまり間近で飛行機を見る機会がないので大興奮です(ただ驚いて暴れている

だけという説もありますが・・・)。

これが、毎朝の函館競馬場の調教風景です。

競走馬の入厩始まる!

こんにちは。

いよいよ、本日から函館競馬場への競走馬の入厩が始まりました。

今年は、門別・浦河の各牧場から『入厩検疫』を受けて入って来た4頭が第1号となりました。

これからぞくぞくと競走馬達が入厩し、にぎやかな季節となります。

ところで、皆さんは『入厩検疫』ってご存知ですか?

今回は、せっかくですから『入厩検疫』についてお話しましょう。

函館競馬場に限らず、馬がJRA施設外からJRA施設内に入る場合(競走馬以外の馬でも同

じです)、検疫厩舎という施設に入り、『入厩検疫』検査を受検する必要があります。

函館競馬場では、毎週水曜日から日曜日までの5日間『入厩検疫』検査を行っています。

検査は午前10時から開始し、全ての結果が出る午後3時に終了します。

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upwardright 函館競馬場の検疫厩舎です。

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upwardright 中はこんな感じです。

入厩検疫検査では、一般臨床検査血液検査馬インフルエンザ検査特徴照合検

性別検査および視力検査を行います。

一般臨床検査(ちょっと難しそうですが)とは、要は健康診断です。

体温を計ったり、獣医さんが聴診したりします。

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upwardright 体温を確認しているところです。

血液検査では、その馬が「馬伝染性貧血」という病気にかかっていないかを検査します。

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upwardright 採血しているところです。

馬インフルエンザ検査は、その名のとおりです。

馬インフルエンザが、昨年の8月に日本国内では30数年ぶりに発生して以降、馬がJRAの施

設に入ったり出たりする場合には、必ず検査をすることになりました。

特徴照合検査は、連れて来た馬が間違っていないことを確認する検査です。

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upwardright 特徴照合検査をしているところです。特徴を一つ一つ読み上げ、丹念に確認します。

性別検査では、主に牡馬が「去勢」されていないかどうかを確認します。

視力検査では、馬の目が「失明」していないかどうかを確認します。

午後3時には、検査で問題のなかった馬達は競馬場内の自分の厩舎に入っていきます。

バックヤードツアー【その3】

こんにちは。

今回は、競馬を終えた馬達が立ち寄る施設をご紹介しましょう。

競馬が終わり、馬場から戻ってきた馬達は、最初に検量室に行きます。

函館競馬場の検量室は、皆さんからも良く見える場所にありますので、見たことがある方も

多いのではないでしょうか。

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upwardright 7着までの馬には、専用の鞍を外す所があります。8着以下の馬は、その辺で・・・。

馬達は、ここで騎手を降ろし、鞍を外してもらいます。

次に向かうところは、【その1】で紹介した競走馬診療所hospitalです。

馬達は、ここに寄って目を洗ってもらいます。

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レース中の馬場は、砂や埃が舞い上がっていて、それらが馬達の目の中にどんどん飛び込

んで来ます。

この砂や埃をほっておくと目が炎症を起こしてしまうので、目を洗ってもらっているんです。

目を洗ってもらってすっきりしたら、ほとんどの馬達は自分の厩舎に帰れるのですが、レース

で1~3着になった馬達は、もう1ヶ所行くところがあります。

それが、検体採取所という施設です。

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検体採取所とは、ドーピング検査用の尿検体を採る所です。

競走馬の世界でも禁止薬物というものが決められていて、これらの薬物を使った馬は、ある

一定の期間、競馬に出走することができません。

ここで採られた尿検体は、競走馬理化学研究所に送られ、禁止薬物の検査を受けます。

ここに入った馬達は、最初に馬体をきれいに洗ってもらいます。

レースに出た馬の体は埃まみれになっているので、尿検体に不純物が入らないようにするた

めです。

それから、馬を落ち着かせるためにクーリングダウンをします。

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upwardright 「クーリングダウンしている馬」(手前側)と「体を洗ってもらっている馬」(後ろ側)

馬が落ち着いたら、照明を落として涼しくした馬房に入れ、おしっこが出るのを待ちます。

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upwardright 慣れている馬は、スタスタ入ります。

無事おしっこが出たら、厩舎に帰ってごほうびのニンジンにありつきます。

バックヤードツアー【その2】

こんにちは。

今回は、函館競馬場の装鞍所という施設をご紹介しましょう。

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upwardright 馬のいない装鞍所はこんな感じです。

装鞍所とは、文字どおり出走する馬達が鞍をつける場所です。

出走する馬達は、発走時間の70分前(一部の競走では90分前)までに装鞍所へ入所するこ

とが義務付けられています。

入所すると、最初に体重を測ります。皆さんに発表している体重は、ここで測ったものです。

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upwardright 函館競馬場の馬体重計はアナログ式です。1000kgまで測れます。

次に、馬体検査蹄鉄検査および馬装具検査を行います。

馬体検査では、one馬が間違っていないこと(馬が個々に持っている特徴が合っていること)、

two性別が変わっていないこと(牡馬が去勢されていないこと)、three馬が出走できる状態にある

こと(傷がないか?、歩き方が悪くないか?など)を確認します。

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upwardright 馬体検査中!馬はちょっと緊張気味!?

蹄鉄検査では、決められた規格の蹄鉄を装着していることを確認します。

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upwardright 蹄鉄は、肢を挙げてしっかり確認!

馬装具検査では、one予め申告した装具(ブリンカー:レーシングプログラムでは馬番号の下

に「B」と標記されています)を付けていること、two競走中の使用が認められていない装具を付

けていないこと(もし付けていれば、どこまで付けていくのか)を確認します(発走地点までの

使用は認められているんです)。

これらの検査を終えた馬は、鞍をつける時間(装鞍所を出発する10分前)まで、ウォーミング

アップrunをしたり、馬房の中でリラックスしたりしています。

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そして、出発時間になると、装鞍所職員の指示のもと、1番から順番に整列し、隊列を組んで

下見所へ移動します。

さあ、いよいよ皆さんへのお披露目です。

バックヤードツアー【その1】

こんにちは。

今回は、函館競馬場の馬温泉spa所以外の施設についてご紹介しましょう。

函館競馬場には、競走馬診療所hospitalという施設があります。もちろん、他の各競馬場にもあり

ますが・・・。読んで字のごとくお馬さんの病院です。

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函館競馬場の競走馬診療所hospitalには、2名の獣医さんが常駐しています。

JRAの獣医さんが常駐している施設としては、トレーニングセンター(美浦・栗東)、育成牧場

(日高・宮崎)、競走馬総合研究所(本所・栃木支所・常磐支所)、競馬学校および馬事公苑

がありますが、競馬場では函館競馬場だけなんです。

なんてたって、函館競馬場には馬温泉spaがありますからね。

では、ちょっとのぞいてみましょうか。

函館競馬場に競走馬が滞在する期間は、5月~9月の約5ヶ月間です。

この間、多い日では約700頭の競走馬が滞在するため、トレーニングセンター等からさらに

4名の獣医さんが応援に来てくれます。

滞在中、競走馬は様々な病気にかかり、厩務員さんに連れられて競走馬診療所hospitalにやって

来ます。もちろん、イヤイヤcryingです。病気の子供が小児科に行くような感じでしょうか。

写真cameraは、治療風景です(『枠場』という馬の動きを制限する所に入れています)。

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upwardright  白(青)衣を着ている人が獣医さんです。2頭ともビタミン注射を打ってもらっています。

また、函館競馬場の競走馬診療所hospitalには、手術室があります。

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JRAの競馬場の中で、手術室があるのは函館競馬場だけなんです。

色々な手術をしますが、一番多いのは骨折の手術です。

写真cameraは、手術の風景です(内視鏡を使い、骨のかけらを取る手術をしているところです)。

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upwardright 馬が仰向けに寝ています(左側が頭で、左端が吸入麻酔器です)。

    中央の茶色い部分が馬の右前肢で、左から3人目の獣医さんが手術をしています。

   この手術は、関節鏡手術といいます。

昨年は、15頭の競走馬が函館競馬場で手術を受けました。

普段、なかなかお見せすることはできませんが、これが競馬の舞台裏の一つです。

僕達も浸かってます

こんにちは。

現在、函館競馬場には競走馬がいません。はい、1頭も・・・。

でも、17頭の元気な乗用馬達がいます。

今回は、函館競馬場の乗馬センターに所属する乗用馬についてお話したいと思います。

この乗用馬の中に、競馬の時に競走馬達を下見所から馬場に導く馬(誘導馬)がいます。

現在、函館競馬場には7頭の誘導馬がいますが、昨年2頭の競走馬(シルクミサイル号

グランクリ)が現役を引退し、新たに誘導馬の仲間入りをしました。

でも、現役を引退した競走馬が、すぐに誘導馬として使えるわけではありません。

誘導馬には、何事にも動じず、冷静かつ安全にテンションの上がっている競走馬達を馬場ま

で誘導するという高い技術が求められるからです。

2頭は、今夏の函館開催デビューを目指し、訓練runの真っ最中です。

写真cameraは、ちょうどウイナーズサークルで訓練runしていたシルクミサイル号です。

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シルクミサイル号を訓練runしているHASHIさんによれば、「まだ4歳のやんちゃ盛りなので、

訓練にも気を遣います。」とのことでした。

こんな誘導馬たちの訓練後のお楽しみは・・・。

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ちょうど、大先輩のカーボンコピー号が温泉spaに浸かっていました。

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彼は、当年とって20歳になりますが、まだまだ現役バリバリの誘導馬です。

「先輩、湯加減どうですか?」

「お、ちょうどいいぞ」

なんて感じでしょうか。

誘導馬達も、函館開催に向けて着々と準備中です。

旅立ち

こんにちは。

昨日と本日、【冬季】利用馬の最後の2頭が函館競馬場から退厩しました。

前回もお話したように、5月下旬には函館競馬開催への出走を目指す競走馬達が入厩して

来るので、【冬季】利用馬は4月下旬までに退厩しなければいけないためです。

1頭(牡馬)は、ひだか町静内の生まれ故郷の牧場に行きました。

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彼は、その牧場で、近日中に騎乗調教を再開する予定にしています。

今年の函館開催あたりで復帰してくれることを期待しています。

彼を担当したSHIMOさんも、楽しみにしているみたいです。

もう1頭(牝馬)の行き先は、JRA競走馬総合研究所・常磐支所です。

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彼女は約6ヶ月間函館に滞在してくれたので、担当したISHIさんも少し寂しそうです。

退厩までにリハビリが終わった馬達は、トレーニングセンターや牧場に行きます。

でも、引き続き温泉spaに浸かりながら、リハビリを続けていきたい馬もいます。

このような馬には、常磐支所でリハビリを続けていくことをお勧めしています。

ご存知のように、常磐支所は競走馬のリハビリ専用施設です。

ウォーキングマシーン、ウォータートレッドミル、スイミングプール、etc. 

でも、残念ながら函館競馬場には、これらリハビリ用の施設はありません。

競馬場なので広い馬場はあるのですが、初期のリハビリ直後の馬には広すぎるんですよね。

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 ↑ 馬場はこんな感じです。広くて気持ちがいいんだけどね。」(horse談)

また、常磐支所は人気があるので、入厩までに待ち時間が生じる場合があります。

このため、リハビリ初期は函館競馬場、中期以降は常磐支所という連携も行っています。

昨日出発した彼女も、リハビリの継続が必要なため、常磐支所行きを選択しました。

今後、今年の【冬季】利用馬達のリハビリが順調に進んでいきますように(祈)。

はじめまして、函館競馬場です!

はじめまして。

突然ですが、函館競馬場の中にも競走馬の温泉施設spaがあるってご存知でしたか?

JRAの馬温泉spa施設としては、競走馬総合研究所・常磐支所が有名ですよね。

でも、函館競馬場の中にも、実は「馬温泉spa所」があるんです。

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函館競馬場の「馬温泉spa所」は、1年のうち5~9月【夏季】には函館・札幌競馬場で出走する

競走馬が、10~4月【冬季】には病気で休養している競走馬が利用しています。

【夏季】に利用する競走馬は、日々の調教やレースでの疲労を取る目的で、【冬季】に利用す

る競走馬は、骨折や屈腱炎などの病気を治す目的で、それぞれ利用しています。

これから、函館競馬場温泉spa情報をどんどん掲載していきますので、よろしくお願いします。

さて今回は、昨年から今年にかけての【冬季】利用馬について簡単ご紹介します。

今シーズンは、8頭の競走馬(7厩舎)に利用していただきました。

その内訳は、骨折馬が6頭、屈腱炎馬が1頭、慢性関節炎馬が1頭でした。

この馬達は、午前中は軽い運動をしたり、パドックで日向ぼっこを楽しんだりして過ごします。

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お昼過ぎまで日向ぼっこを楽しんだ後、2頭ずつペアで温泉に入ります(ちなみに混浴です)。

ここの温泉spaは、「湯の川温泉spa」から引いて来ていて、泉質は食塩泉(無色・無臭)です。

「湯の川温泉spa」の源泉は約65度もあるので、タンクで適温まで冷ましてから使います。

ウマの適温は約41~42度ですから、ヒトと同じくらいですね。

基本的には水で割らず、『源泉掛け流し』が函館競馬場の売りです。

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温泉spaは、とても気持ちがいいです。馬達は、みんな居眠りしながら入っています。

でも、治療や検査が必要な馬達は、ここで獣医さんに注射されたり、足を触られたりします。

獣医さんの診察が終わったら、自分の部屋に戻ってのんびりお昼ねタイムです。

こんな風に、湯治している馬達の1日は、ゆっくりと過ぎていきます。

この馬達が函館競馬場に滞在する期間は、病気の種類によってまちまちです。

屈腱炎のような時間のかかる病気は、10~4月の間ずっと滞在します。

骨折の場合は、その程度によりますが、3~6ヶ月間滞在します。

4月に入り、湯治をしていた馬達は、トレーニングセンターや牧場に出て行き始めました。

この馬達が全て出て行くと、いよいよ5月の入厩に向けた準備が始まります。