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新生子馬の評価方法 ~APGARスコアリングシステムの紹介~(生産)

   寒い日が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?ここ日高育成牧場では明け1歳馬を昨年11月から【昼夜放牧群】【昼放牧+WM群】の2群にわけ管理をしています。今シーズンは気温の低い日が多いものの、吹雪になる日は少なく、幸いなことに現在のところ両群とも健康上の大きな問題は起こっておりません。

 

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      【写真1】 昼夜放牧をしている1歳馬

   

 さて、牧場によってはそろそろ分娩の時期が始まっておられるのではないでしょうか(写真2)?今回は、近年導入され始めた新生子馬の健康状態を評価するためのAPGAR(アプガー)スコアリングシステム」について紹介したいと思います。

  

   

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      【写真2】 分娩直後の新生子馬

 

 APGARシステムとは、ヒト医療で広く使われている新生児の健康状態の評価基準で、欧米では近年馬に応用され始めたところです。APGARとは、外見(Appearance脈拍数(Pulse表情(Grimace活動(Activity呼吸数(Respirationの頭文字をとったもので、これらの指標を用いて評価するシステムです。出生後最初の3分間で誰でも簡単に子馬を即時に評価できる方法です(表1)。さらに、負荷をかけたときの筋肉の活動などを評価項目として加えた、獣医師用の評価方法もあります(表2)。

   

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   【表1】 出生後3分以内の子馬の評価のためのAPGRAスコア(生産牧場向け)

   

   

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   【表2】 出生10分以降(~2時間まで)の子馬の評価のためのAPGAR(獣医師向け)

   

   

 

APGARが推奨されている理由は、「新生子馬の健康上の問題を早期に認識することができれば、それだけ早く子馬に集中的な治療を施すことができ、救うことができる子馬が増えるのではないか」という考え方からです。過去の経験から、ハイリスクな子馬でも多くは生後12~18時間までは比較的正常に見えるものですが、いったん問題が発生してしまうと健康状態の悪化は急速に進むと言われています。また、逆に健康で治療の必要のない子馬に関しては、なるべく人手をかけず親子の触れ合いを大事にすることで「育児拒否」の発生が減少することが知られています。APGARを使うと、「早くかつ正確に」子馬の健康状態を評価することができるので、ハイリスクな子馬の早期発見・早期治療と、健康な子馬への過剰な治療の両方を同時に防ぐことができるようになるというわけです。

 例えば今回紹介した【生産牧場向け】のAPGARで「7~8点」であれば必要以上に人が干渉せず見守る(もちろんその後の初乳を飲んだかなどの確認は重要ですが)、「6点以下」であれば獣医師に診察を依頼するなど、牧場ごとにアレンジして使ってみてはいかがでしょうか?

 

●参考文献:Equine Stud Farm Medicine and Surgery