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活躍馬情報(事務局)

3月23(土)中京1R(3歳未勝利)では日高育成牧場で育成された

ノンライセンス号が、スタートから好位追走、最後の直線で豪快な末脚を

見せ、2着馬に2馬身をつける快勝でうれしい初勝利を挙げました!

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3月23日 2回中京競馬5日目 第1R 3歳未勝利牝 ダート 1,400m

ノンライセンス号(サマーリガードの16) 牝

【 厩舎:松永 幹夫 厩舎(栗東) 父:パイロ 】

  

3月23日(土)中京2R(3歳未勝利)では日高育成牧場で育成された

ローザノワール号が、▲藤田菜七子を鞍上に最後の直線の競り合いを制し、

うれしい初勝利を挙げました! 

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3月23日 2回中京競馬5日目 第2R 3歳未勝利若手騎手 ダート 1,900m

ローザノワール号(ダノンスズランの16) 牝

【 厩舎:西園 正都 厩舎(栗東) 父:マンハッタンカフェ 】

   

3月24日(日)阪神9R(四国新聞杯)では宮崎育成牧場で育成された

ウインクルサルーテ号が、道中は最後方追走でしたが、ゴール直前の

混戦をクビ差で競り勝ち、4勝目を挙げました! 

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 3月24日 2回阪神競馬2日目 第9R 四国新聞杯 芝 2,000m

ウインクルサルーテ号(パッショナルダンスの13) 牝

【 厩舎:高橋 亮 厩舎(栗東) 父:ハービンジャー 】

  

3月24日(日)阪神12R(4歳上1000万下)では日高育成牧場で育成された

フォーカード号が、最後の直線で末脚を爆発させ、大外から一気に先頭に立ち

こちらも4勝目を挙げました! 

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 3月24日 2回阪神競馬2日目 第12R 4歳上1000万下 ダート 1,800m

フォーカード号(キングズラヴの14) 牡

【 厩舎:小崎 憲 厩舎(栗東) 父:サマーバード 】

  

今後の更なる活躍を期待しております。

育成馬ブログ(日高⑥)

○2019年ブリーズアップセールに向けて

 

 本年のブリーズアップセールの上場馬名簿

http://www.jra.go.jp/facilities/farm/training/bus/)が完成し、セール

まで残すところ1ヶ月少々となりました。日高育成牧場では本番に向けて、調教

もヒートアップしてきており、育成馬達も概ね順調に仕上がりつつあるところ

です。

 今回のブログでは、日高育成牧場の上場馬の中で、特に調教の動きが目立つ

4頭をピックアップして紹介したいと思います。

 

 牡馬ではダイワエタニティーの17(No.22 父ダンカーク)とミステリアス

ガールの17(No.46 父エスケンデレヤ)を紹介します。

 前者の半兄プレトリアも当場の育成馬で、現在1000万下条件で活躍中です。

兄は6月の2歳新馬戦で勝利しており、弟にも2歳の早い時期からの活躍が期待

されます。後者は新種牡馬エスケンデレヤの本邦初年度産駒。アメリカでは産

駒の活躍が目立っており、日本での活躍にも期待が膨らみます。

 3月5日の坂路調教ではこの2頭で併走し、上がり3ハロン40.1秒

(14.1-12.9-13.0)のタイムを持ったままで駆け上がってきました。

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左:ダイワエタニティの17(No.22 父ダンカーク)
右:ミステリアスガールの17(No.46 父エスケンデレヤ)

   

 牝馬ではアグネスリースの17(No.7 父ワールドエース)とトウカイライフ

の17(No.57 父キズナ)を紹介します。

 いずれの父もディープインパクト産駒の新種牡馬で、気性的にも動きを見て

も仕上がりが早い印象を受けます。3月5日の坂路での併走調教では、上がり

3ハロン40.6秒(14.4-13.0-13.2)のタイムをやはり持ったまま、余裕の手ご

たえで走ってきました。

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左:トウカイライフの17(No.57 父キズナ)
右:アグネスリースの17(No.7 父ワールドエース)

 

 4月8日(月)には当場で育成馬展示会が開催されます。当日は今回ご紹介し

た馬以外にも、多くの将来性の高い育成馬の調教をお見せいたしますので、是

非ご来場ください!心よりお待ちしています!

活躍馬情報(事務局)

3月16日(土)阪神10R(なにわステークス)では日高育成牧場で育成された

ヒロシゲゴールド号が、大外枠から勢いよくスタートを決めるとそのまま先頭

を譲らず、2着馬に2馬身をつける快勝で3連勝!オープン入りを果たしました。

 

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 3月17日 1回阪神競馬7日目 第10R なにわステークス ダート 1,200m

ヒロシゲゴールド号(エフテーストライクの15) 牡

【 厩舎:北出 成人 厩舎(栗東) 父:サウスヴィグラス 】

 

今後の更なる活躍を期待しております

育成馬ブログ(生産⑥)

乳汁のpH値測定による分娩予知(米国イリノイ大学での調査)

 

 だいぶ暖かくなり、すでに分娩が始まっている牧場も多いことかと思いま

す。今回は以前よりJRA日高育成牧場で行っている妊娠馬の乳汁のpH値測定

による分娩予知について、米国でも同様の研究を行ったという報告がありま

したので、ご紹介いたします。

 

●乳汁のpH値測定による分娩予知

 過去に本ブログ(https://blog.jra.jp/ikusei/2011/05/post-d30d.html

でも紹介してまいりましたが、妊娠馬の乳汁のpH値低下が分娩予知に応用でき

ることを当場の頃末らが発見し、2013年に米国の学術雑誌“Journal of the

American Veterinary Medical Association”に論文として発表しました

(242号242~248ページ)。2014年には英国の教科書“Equine

Reproductive Procedures”にも引用され、馬の臨床上有用な研究成果である

ことが世界的に評価されています。(図1)

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図1 英国の教科書にも乳汁のpH値による分娩予知が掲載されています

 

●米国イリノイ大学での調査

 米国イリノイ大学でも同様の研究が行われ、2016年のAAEP(アメリカ馬臨

床獣医師協会)年次大会で発表されました。研究に供された品種および頭数は

明らかにされていませんが、分娩前の乳汁pH値の低下には下記の3パターンが

あったとのことでした。

 ①Fast Decrease:分娩直前にpHが下がるパターン。

 ②Slow Decrease:徐々にpHが下がるパターン。古馬に多かった。

 ③Alkaline pH:pHが下がらないまま分娩するパターン、極めて稀、乳汁中

  のNa+, K+, Ca2+も同じく変化していなかった。

 

●JRA日高育成牧場でのその後の調査結果

 2013年の発表後も、当場では分娩前の妊娠馬の乳汁pH値のデータを蓄積し

ています。イリノイ大学での調査結果と同じく、乳汁pH値は分娩当日まで低下

しないパターン(図2)および分娩5日ほど前から低下するパターン(図3)が

あることから、データを毎年記録することがその馬の分娩予知の精度の向上に

役立つと考えています。

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図2 乳汁pH値が分娩当日まで低下しないパターン

Photo_3図3 乳汁pH値が分娩5日ほど前から低下するパターン

 

 また、当場では分娩予知のための乳汁の採取を夕方(16~17時)に行ってい

ますが、そのpH値が基準値となる6.4まで低下していなかったにもかかわらず

分娩した例が約10%ありました。これらの馬においても、分娩直前の乳汁pHは

いずれも6.4以下であり、分娩前のpH低下時期には個体差が大きいことが示唆

されました。

 このことから私たちは現在、乳汁pHに加え繁殖牝馬の分娩直前の行動パター

ン、発汗量などの指標により分娩予知の精度向上を目指した研究を進めている

ところです。今後も、当場からの新たな研究成果の発信にご期待いただけまし

たら幸いです。