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競走馬の入厩始まる!

こんにちは。

いよいよ、本日から函館競馬場への競走馬の入厩が始まりました。

今年は、門別・浦河の各牧場から『入厩検疫』を受けて入って来た4頭が第1号となりました。

これからぞくぞくと競走馬達が入厩し、にぎやかな季節となります。

ところで、皆さんは『入厩検疫』ってご存知ですか?

今回は、せっかくですから『入厩検疫』についてお話しましょう。

函館競馬場に限らず、馬がJRA施設外からJRA施設内に入る場合(競走馬以外の馬でも同

じです)、検疫厩舎という施設に入り、『入厩検疫』検査を受検する必要があります。

函館競馬場では、毎週水曜日から日曜日までの5日間『入厩検疫』検査を行っています。

検査は午前10時から開始し、全ての結果が出る午後3時に終了します。

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upwardright 函館競馬場の検疫厩舎です。

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upwardright 中はこんな感じです。

入厩検疫検査では、一般臨床検査血液検査馬インフルエンザ検査特徴照合検

性別検査および視力検査を行います。

一般臨床検査(ちょっと難しそうですが)とは、要は健康診断です。

体温を計ったり、獣医さんが聴診したりします。

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upwardright 体温を確認しているところです。

血液検査では、その馬が「馬伝染性貧血」という病気にかかっていないかを検査します。

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upwardright 採血しているところです。

馬インフルエンザ検査は、その名のとおりです。

馬インフルエンザが、昨年の8月に日本国内では30数年ぶりに発生して以降、馬がJRAの施

設に入ったり出たりする場合には、必ず検査をすることになりました。

特徴照合検査は、連れて来た馬が間違っていないことを確認する検査です。

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upwardright 特徴照合検査をしているところです。特徴を一つ一つ読み上げ、丹念に確認します。

性別検査では、主に牡馬が「去勢」されていないかどうかを確認します。

視力検査では、馬の目が「失明」していないかどうかを確認します。

午後3時には、検査で問題のなかった馬達は競馬場内の自分の厩舎に入っていきます。

バックヤードツアー【その3】

こんにちは。

今回は、競馬を終えた馬達が立ち寄る施設をご紹介しましょう。

競馬が終わり、馬場から戻ってきた馬達は、最初に検量室に行きます。

函館競馬場の検量室は、皆さんからも良く見える場所にありますので、見たことがある方も

多いのではないでしょうか。

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upwardright 7着までの馬には、専用の鞍を外す所があります。8着以下の馬は、その辺で・・・。

馬達は、ここで騎手を降ろし、鞍を外してもらいます。

次に向かうところは、【その1】で紹介した競走馬診療所hospitalです。

馬達は、ここに寄って目を洗ってもらいます。

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レース中の馬場は、砂や埃が舞い上がっていて、それらが馬達の目の中にどんどん飛び込

んで来ます。

この砂や埃をほっておくと目が炎症を起こしてしまうので、目を洗ってもらっているんです。

目を洗ってもらってすっきりしたら、ほとんどの馬達は自分の厩舎に帰れるのですが、レース

で1~3着になった馬達は、もう1ヶ所行くところがあります。

それが、検体採取所という施設です。

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検体採取所とは、ドーピング検査用の尿検体を採る所です。

競走馬の世界でも禁止薬物というものが決められていて、これらの薬物を使った馬は、ある

一定の期間、競馬に出走することができません。

ここで採られた尿検体は、競走馬理化学研究所に送られ、禁止薬物の検査を受けます。

ここに入った馬達は、最初に馬体をきれいに洗ってもらいます。

レースに出た馬の体は埃まみれになっているので、尿検体に不純物が入らないようにするた

めです。

それから、馬を落ち着かせるためにクーリングダウンをします。

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upwardright 「クーリングダウンしている馬」(手前側)と「体を洗ってもらっている馬」(後ろ側)

馬が落ち着いたら、照明を落として涼しくした馬房に入れ、おしっこが出るのを待ちます。

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upwardright 慣れている馬は、スタスタ入ります。

無事おしっこが出たら、厩舎に帰ってごほうびのニンジンにありつきます。

プール始めました! 常磐支所

昨日より、リハビリメニューの一つであるプール調教が始まりました。

初日は、プール開きと称しましてマスコミ各社も大勢取材に訪れ、地元の夕方のニュースや今朝の新聞には写真でも取り上げられました。

ちょうど昨日は好天にめぐまれ、福島市では29,8℃と全国でも一番高い気温を記録し、常磐支所は、気温25℃、水温18℃とまさにプール日和となりました。

まずは、プールの安全を祈願しまして、お清めの儀式を厳かにとりおこないました。

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リハビリメニューの一つですので、あらかじめプール調教に適した馬を選抜してはいますが、何しろ泳いだ経験がある馬は、トレセンでの調教をしたことのある馬、去年の常磐でのプール調教を行った馬に限られ、当然生涯初めて”およぐ”馬がほとんどです。少し緊張しながら始めると意外にも、上手にこなしていきます。

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              少し頭が高めながら、一生懸命泳いでいます。

中には、余裕でのんびりと楽しんで泳いでいるような馬もいます。あまりにゆっくりで顔が水に漬かってしまうのではと不安にさせられます。

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                   余裕なのか懸命なのかわかりづらい表情です。

水に入るまでを嫌がったり、ギリギリのところから飛び込むようにジャンプする馬など様々でしたが、大事無く初日を無事に終了しました。

これから、10月の中旬頃までプール調教を行いますのでまた、その様子はご報告します。

バックヤードツアー【その2】

こんにちは。

今回は、函館競馬場の装鞍所という施設をご紹介しましょう。

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upwardright 馬のいない装鞍所はこんな感じです。

装鞍所とは、文字どおり出走する馬達が鞍をつける場所です。

出走する馬達は、発走時間の70分前(一部の競走では90分前)までに装鞍所へ入所するこ

とが義務付けられています。

入所すると、最初に体重を測ります。皆さんに発表している体重は、ここで測ったものです。

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upwardright 函館競馬場の馬体重計はアナログ式です。1000kgまで測れます。

次に、馬体検査蹄鉄検査および馬装具検査を行います。

馬体検査では、one馬が間違っていないこと(馬が個々に持っている特徴が合っていること)、

two性別が変わっていないこと(牡馬が去勢されていないこと)、three馬が出走できる状態にある

こと(傷がないか?、歩き方が悪くないか?など)を確認します。

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upwardright 馬体検査中!馬はちょっと緊張気味!?

蹄鉄検査では、決められた規格の蹄鉄を装着していることを確認します。

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upwardright 蹄鉄は、肢を挙げてしっかり確認!

馬装具検査では、one予め申告した装具(ブリンカー:レーシングプログラムでは馬番号の下

に「B」と標記されています)を付けていること、two競走中の使用が認められていない装具を付

けていないこと(もし付けていれば、どこまで付けていくのか)を確認します(発走地点までの

使用は認められているんです)。

これらの検査を終えた馬は、鞍をつける時間(装鞍所を出発する10分前)まで、ウォーミング

アップrunをしたり、馬房の中でリラックスしたりしています。

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そして、出発時間になると、装鞍所職員の指示のもと、1番から順番に整列し、隊列を組んで

下見所へ移動します。

さあ、いよいよ皆さんへのお披露目です。

バックヤードツアー【その1】

こんにちは。

今回は、函館競馬場の馬温泉spa所以外の施設についてご紹介しましょう。

函館競馬場には、競走馬診療所hospitalという施設があります。もちろん、他の各競馬場にもあり

ますが・・・。読んで字のごとくお馬さんの病院です。

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函館競馬場の競走馬診療所hospitalには、2名の獣医さんが常駐しています。

JRAの獣医さんが常駐している施設としては、トレーニングセンター(美浦・栗東)、育成牧場

(日高・宮崎)、競走馬総合研究所(本所・栃木支所・常磐支所)、競馬学校および馬事公苑

がありますが、競馬場では函館競馬場だけなんです。

なんてたって、函館競馬場には馬温泉spaがありますからね。

では、ちょっとのぞいてみましょうか。

函館競馬場に競走馬が滞在する期間は、5月~9月の約5ヶ月間です。

この間、多い日では約700頭の競走馬が滞在するため、トレーニングセンター等からさらに

4名の獣医さんが応援に来てくれます。

滞在中、競走馬は様々な病気にかかり、厩務員さんに連れられて競走馬診療所hospitalにやって

来ます。もちろん、イヤイヤcryingです。病気の子供が小児科に行くような感じでしょうか。

写真cameraは、治療風景です(『枠場』という馬の動きを制限する所に入れています)。

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upwardright  白(青)衣を着ている人が獣医さんです。2頭ともビタミン注射を打ってもらっています。

また、函館競馬場の競走馬診療所hospitalには、手術室があります。

Jra

JRAの競馬場の中で、手術室があるのは函館競馬場だけなんです。

色々な手術をしますが、一番多いのは骨折の手術です。

写真cameraは、手術の風景です(内視鏡を使い、骨のかけらを取る手術をしているところです)。

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upwardright 馬が仰向けに寝ています(左側が頭で、左端が吸入麻酔器です)。

    中央の茶色い部分が馬の右前肢で、左から3人目の獣医さんが手術をしています。

   この手術は、関節鏡手術といいます。

昨年は、15頭の競走馬が函館競馬場で手術を受けました。

普段、なかなかお見せすることはできませんが、これが競馬の舞台裏の一つです。

もうすぐプール開き

新緑が木々を埋め尽くし、とても気持ちの良い陽気になってきました。さて、常磐支所では5月の声を聞くと俄かに新しいリハビリの準備を開始します。タイトルにもありますプール調教です。あくまでリハビリの一環であって、夏の暑さをしのいだり、泳いで楽しむものとは違います。

常磐支所のプールは、日本で初めての馬用スイミングプールであり昭和50年に開設されました。幅4m深さ3mのドーナツ型をした円形プールです。現在は栗東や美浦にも作られており、調教方法の1つとして広く活用されています。真水の屋外プールですので水温が20℃以上になる季節(5月末~10月頃)だけ使用しています。脚に負担をかけずに運動負荷をかけることができ、心肺機能の向上に適しています。

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水を抜いて水垢をきれいに落とします。こんなに深いんですよ!

今年は5月22日から開始予定です。(水温の状況によっては多少前後することがあります。)

福島県では、季節の風物詩として取り上げられることもある行事の一つになっています。

追伸 

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函館を出発し無事常磐支所に到着したリカですが、いまやいわき湯本温泉を堪能(?)しております。さて、お好みの温泉はどっちですか?リハビリも順調にこなしていますので函館の方ご安心を。