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宮崎競馬100年記念式典を開催(宮崎)

明治40年に第1回宮崎競馬が、現在の宮崎育成牧場がある場所で開催されてから今年でちょうど100年になります。それを記念して1115日に地元周辺自治会長、宮崎県出身の調教師(池江調教師、野元調教師および小原調教師)、南九州育成業者、役所関係者、JRA役員および宮崎育成牧場歴代場長などが集まり、盛大に式典を開催しました。当日、式典の催し物として、育成馬10頭の展示および草競馬「宮崎チャンピオンステークス(Myz)」を実施しました。

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式典での鏡割り(もちろん焼酎!)の様子です。(1115日)

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育成馬10頭の展示を、昭和6年に建設された歴史あるスタンド前で実施しました。(1115日)

南九州では、草競馬が盛んに行われています。宮崎市の西にある美しい自然に恵まれた綾町で実施される「綾競馬」は114日に開催されましたが、2万人近い来場者で賑わいました。草競馬には軽種のレースのみならず、子供たちが参加するポニーレースもあります。子供たちの家で飼っているポニーを競馬に向けて仕上げ、多くの人たちが子供たちを応援すると同時に予想大会も楽しみ、町ぐるみで競馬をお祭りとして盛り上げるイベントが南九州に存続していくことは重要です。宮崎競馬場は宮崎育成牧場に変わりましたが、今後も多くの人に「競馬の原点」を楽しんでもらうため、「馬に親しむ日」等のイベントで草競馬を開催していきます。もちろん、宮崎育成牧場で刻んできた100年の歴史の重みを感じ、競走馬の育成業務に対しても益々励んでまいりたいと思っています。

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本格的な草競馬「宮崎チャンピオンS」は6頭立てで実施され、徳重推幸氏所有のアイラ号が、エイシンクッシング号を見事差しきり、優勝しました。写真は優勝したアイラ号と関係者。(1115日)。

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2群も順調に調教が進んでいます。500m馬場で速歩を実施している牡のストリング(隊列)です。先頭はヒロジュエルの06(牡・父フサイチコンコルド)。1118日現在、第2群は500m馬場でゆっくりしたキャンターを1000m実施しており、11月下旬から1600m馬場でのキャンターを開始し、先に馴致を開始した第1群と合流していく予定です。(118日)

講習用DVDを作成しています(日高)

JRAでは昨年度「育成牧場管理指針」と題した小冊子を作成し、今年はこれを基にした講習会を各地で催しています。日高育成牧場では7月に八戸で「馬の展示としつけ」というタイトルで、馬のトリミングの仕方と引き馬や駐立展示の方法について講習会を行いました。講習会はスライドによる講義と実馬を使った実技形式で行ったところ、特に実馬を用いた実演は視覚的にも分りやすく、スライドでは表現しにくい細かなところまで説明でき、非常に好評でした。

そこで、JRAでは「育成牧場管理指針」映像化の第1弾として、「馬のトリミングと展示方法」についてDVDを作成することにしました。年内には完成予定ですので、乞うご期待下さい。

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ビデオ撮影風景1:心配していた天気は予報と異なる快晴で絶好の撮影日和となりました。展示のモデル役はシラーの06(牡:父マイネルラヴ)

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ビデオ撮影風景2:トリミングはシーキングハーフォーチュンの06(牡:父フサイチコンコルド)が務めました。写真は前髪のトリミングをしているところ。

今年のBTC利用馬は新馬勝ちの数を含めて、例年に増して好成績を収めています。その理由の一つとして、700mから1000mに延長された屋内坂路馬場を挙げる関係者は少なくありません。日高育成牧場では毎年12月にBTC利用者と様々なテーマで意見交換会を実施していますが、今年は坂路調教の効果と馬場の特性をテーマに開催する予定でいます。

JRA育成馬で最初に馴致を始めた第1群は、1030日から坂路調教を開始しました。本年度は同じ速度でも平地より運動負荷が高く、直線でハミ受けを作りやすい坂路の特性を活かし、可能な限り早い時期からより積極的に屋内坂路馬場を使っていこうと考えています。第2群は1030日から屋内800mトラックで駈歩調教を開始し、安定した駈歩で走れることを目指しています。また、1112日現在で、第3群は速歩調教まで、最後に馴致を開始した第4群は馬房内で騎乗する直前まで馴致は進んでいます。

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1群坂路調教風景:右からチケットトゥフライの06(牝:父ブライアンズタイム)、ダンシングザードの06(牝:父ネオユニバース)、ハッタロッチの06(牝:父アグネスデジタル)、ミロヴァダンスの06(牝:父スペシャルウイーク)、チッキーズディスコの06(牝:父シンボリクリスエス)、オースミシャロンの06(牝:父タイキシャトル)

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2群調教風景:左からネバータッチミーの06(牡:父スキャン)、ニットウヒマワリの06(牡:父ワイルドラッシュ)、アーチェリーの06(牡:父シルバーチャーム)、シスタースルーの06(牡:父ラムタラ)、ウォーターセレブの06(牡:父スウェプトオーバーボード)。右上は今年から導入した新兵器のタイム計測装置。調教タイムはこれまでコースの一部を手動で計測していましたが、全ハロンのタイムを自動で計測できるようになりました。調教の客観的評価に欠かせないアイテムの登場です。

冬毛の悩み(宮崎)

宮崎では、日中はまだ暑い日が続いています。10月は最高気温が25℃以上あった日が19日間(31日間すべて20℃以上)ありました(北海道の夏とたいして変わりません)。このように宮崎は暖かいので、馬も冬毛があまり伸びないと思っておられる方も多いと思います。しかし、この時期の馬体管理をしっかり行わないと、場合によっては北海道よりも冬毛が伸びることも多々見られるのです。その原因として、①10月中旬まで夜間放牧を実施していること、②日中暑いのですが、馬体を洗うと乾くまでに馬房内で馬体が冷えること、③暑さ対応の厩舎構造となっており、馬房内があまり暖かくないことがあげられると思います。夜間放牧を行うと毛が伸びて皮膚は厚くなるのは自然な馬の反応で、馬にとって決して悪いことではありません。しかし、暖かい宮崎では、冬毛が伸びるとトレーニング中に必要以上に汗をかくことになり、馬にとってストレスとなることが私たちは気になるのです。また、見栄えも良くないので、騎乗馴致を開始した時点からは競走馬と同様に皮膚が薄くなるように馬体管理するように心がけています。具体的には、①馴致開始とともに夜間放牧の終了、②丸洗い後のクーラーラグ着用、③夜間のサマーシーツ(薄手の馬服)着用および④騎乗時に馬体を暖かく保つために薄手のエクセサイズシーツ着用などを行っています。しかし、それでも冬毛が伸びてしまったら、バリカンで冬毛を短く刈るクリッピングも実施します。もちろん、その際には馬服を重ね着するなど通常よりも暖かく保つ必要があります。近年、北海道でもライトコントロール法と呼ばれる馬体管理を育成馬に対しても実施することで、4月に宮崎の馬以上に換毛を促進する技術も開発されてきました。宮崎育成牧場の私たちは危機感を感じています。今まで、何もしなくても春になれば、自然に冬毛が抜けて馬の見栄えが良かったのですが、今後は、春に馬体の見栄えをよくするためには、秋のこの時期から今まで以上に人が手をかける必要性を強く感じています。

 

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左は午後に馬体を洗った後にクーラーラグを着用しているところです。馬はメガミグリーンの06(牝・父マヤノトップガン)。また、右は夕方の手入れ時にクーラーを脱がしてサマーシーツを着用しています。馬はヒロジュエルの06(牡・父フサイチコンコルド)。(111日)

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調教後のクーリングダウンの風景です。人はまだ半袖ですが、馬はエクセサイズシーツを着用しています。先頭からモーリフェアリーの06(牡・父プリサイスエンド)、インディペンデンスの06(牡・父シルバーチャーム)。(1028日)

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920日に騎乗馴致を開始した第1群は、現在、500mトラックを3周(1500m)、ゆっくりしたキャンターで縦列調教を行っています。先頭はアドラーの06(牡・父アグネスタキオン)。(1031日)

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2群も1018日から騎乗馴致を開始しています。杉林の間をドライビングしているのはシフォンケーキの06(牡・父タイキシャトル)です。(112日)

韓国からの研修生奮闘中(日高)

アンニョンハセヨ(こんにちは)

近年、日高育成牧場には年間を通して、韓国、中国や東南アジアなどの海外からも大勢の競馬関係者が見学に訪れてきます。当場の施設や利用馬の素晴らしさを紹介するとともに、日本の馬産や競馬をアピールすることは、我々の重要な仕事の一つとなっています。

特に本年は、1017日から約1ヶ月間にわたり、韓国から4名の研修生(KRA職員2名と生産者の後継者2名)がブレーキングの実習に訪れています。彼らの中には日本語を話せる者はおらず、かろうじて英語を話せる者が1名だけで、当初はどんな研修になるか危惧していましたが、馬の世界は万国共通で、身振り手振りを交えながら、あっという間に当場の馬取扱職員の中に溶け込んでくれました。施設や馬はもちろんですが、競馬サークルの財産は人です。彼らがこの研修で多くのことを学んで、韓国競馬の発展に寄与してくれることを願っています。

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ブレーキングを見学する研修生たち

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収牧のために馬を引く研修生

今年入厩したJRA育成馬は、入厩日、性別、誕生日や疾病等により4群に分けて馴致を開始しました。9月上旬に馴致を開始した第1群の馬たちは、現在、屋内800mトラックでゆっくりした速度で約1200mの駈歩を行っています。この日誌がアップする頃には屋内坂路を使った調教ができればと思っています。

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屋内800mトラックで駈歩を行う第1群の馬たち:先頭3頭は右プリンセスバローズの06(牡:父ボストンハーバー)、中央ハートフルソングの06(牡:父クロフネ)、左セイウンクノイチの06(牡:父グラスワンダー)

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クーリングダウンを行う第1群の馬たち:後ろの山々は赤や黄色に染まり、これからの厳しい季節を前に、日高は今が一番美しい季節です。