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競馬学校騎手課程生徒の研修(日高)

最低気温が-20を下回る日もあった厳しい寒さの1月とは対照的に、2月は降雨を認めるなど少し寒さが緩み、冬の寒さも峠を超えたように感じられました。3月を迎えましたが、一面雪で覆われている浦河では、まだまだ春の訪れを感じることはできません。

しかし、育成馬達の調教後の息の入りの変化を見ていると、4月のブリーズアップセールへのカウントダウンを実感でき、私たちに春の訪れを感じさせてくれます。

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捕獲したキジをくわえ威嚇するキタキツネ。この姿を見ていると、厳しい冬を乗り越えることに生きる意味があるのではと感じてしまいます。北海道の春の訪れはもう少し先のようです。

育成馬の近況 ~調教メニューのパターン化~

育成馬達は順調に調教メニューをこなしており、ベースとなる800m屋内トラックでは、基礎体力を養成する目的で“オフ”の状態での調教に主眼を置き、メンタル面を落ち着かせ、競馬に不可欠な隊列を整えた調教を心掛けています。

また、2回は屋内1,000m坂路コースにおいて、34頭を1つのロットとした縦列でのストリングを組んでのステディキャンターを2本実施しています。スピードは1本目が60秒/3F2本目が54秒/3Fを目安としon the bridledでの走行を意識しています。

そして、坂路調教の翌日には再び800m屋内トラックで“リラックスを目的とした調教を実施しています。このように、1週間の調教の流れをパターン化することによって、馬への“オン”と“オフ”の区別の理解を促し、メンタル面のケアも心掛けています。日頃の調教からスピードよりも“on the bridled”の手応えを重要視し、ブリーズアップセールの“時計よりも馬の走法や出来映え”をアピールするというスローガンに則した仕上げを目標としています。

2回は坂路コースで4頭を1つのロットとした縦列でのストリングを組んでのステディキャンターを実施し、調教メニューをパターン化しています。先頭からダンシングサクセスの10(牡 父:アグネスタキオン)、ユメノセテアラムの10(牡 父:ケイムホーム)、セーフアズロックの10(牡 父:アルデバラン)、メガクライトの10(牡 父:アルデバラン

ブリーズアップセールの騎乗供覧に備えて

さて、日高育成牧場には毎年、大学生を対象とした「サマースクール」をはじめとして多くの研修生が来場しますが、2月の中旬にはその中でも最も若い研修生がやってきました。その研修生とは、競馬学校の騎手課程29期生6です。

皆様ご存じのように、ブリーズアップセールの騎乗供覧では、JRA育成牧場の職員はもちろん、現役騎手の他に、騎手になるための教育の一環として競馬学校の騎手課程の生徒達も騎乗しています。その中でも最も騎乗鞍が多いのが騎手課程生徒となっています。

今回の研修では、ブリーズアップセールの騎乗供覧に備えたJRA育成馬の騎乗研修がメインとなり、1日に3頭の育成馬に騎乗しました。研修初日には、2歳のこの時期の若馬に初めて騎乗するという緊張感も手伝って、騎乗姿勢に硬さが見受けられましたが、鞍数が増えていくに従って未来の名ジョッキーを予感させる巧みな騎乗へと変わっていきました。

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ブリーズアップセールの騎乗供覧に備えて育成馬に騎乗する騎手課程生徒(左2番手、右先頭および2番手)。先頭左からサマーヴォヤージュの10(牡 父:ネオユニヴァース)、フェリストウショウの10(牡 父:フォーティーナイナーズサン)、ペイミーキャッシュの10(牡 父:ケイムホーム)、先頭右からフジティアスの10(牡 ホームブレッド父:ケイムホーム)、ワンモアベイビーの10(牡 ホームブレッド 父:ケイムホーム

ホースマンとして

研修中は早朝から朝飼付け、騎乗前の馬房掃除、育成馬の騎乗、騎乗後の手入れ、そして治療および検査の手伝いにとどまらず、近隣牧場の見学、セリに上場するためのコンサイナー業務に関する講義、さらには浦河ポニー乗馬スポーツ少年団との交流など普段は接することのない方々との交流を持つことができました。

特に普段接することの少ない生産者の方々の繁殖牝馬や1歳馬に対する思いを聞く機会を得て、1頭の競走馬が競馬場で出走するまでには、多くの人々が関わっていることを改めて理解することができたのではないでしょうか。

また、好奇心旺盛な1歳馬と触れ合う機会を得て、馬という動物の自然な姿や行動を少しは理解することができたのではないでしょうか。これらの経験が立派なホースマンとしての礎となるものと思われます。

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生産者の方の話に聞き入る騎手課程生徒。1頭の競走馬が競馬場で出走するまでには、多くの人々が関わっていることを理解できたのではないでしょうか。

人材づくりの重要性

今回の研修は移動日も含めて6日間と非常に短い期間でしたが、私が感じた彼らの特筆すべき点は、我々のアドバイスをいとも簡単に自分のものとして吸収することができる「柔軟性」、つまり「若さ」です。別の言い方をすると、まだ自分の軸となる考え方が構築されていないともいえるのでしょう。

将来、優れた騎手あるいはホースマンになれるかどうかは、個人の資質はもちろん重要ですが、それに勝るとも劣らないくらい彼らを取り囲む環境が彼らの将来を左右するのではないかということを感じずにはいられませんでした。

一方、彼らにはその環境が与えられるのを待つのではなく、自ら進んでその環境を手に入れられるように多くの人と接し、談笑するだけでなく真の言葉を引き出せるように努力するとともに、時間があれば著名人が執筆した本を読み、何かのヒントを得られるよう心がけてほしいと感じました。

強い馬づくりのためには、人材をつくることが常に先であることを改めて実感することができた今回の研修でした。

424日(火)に開催されるブリーズアップセールでは、JRA育成馬のみならず、騎手課程生徒の騎乗ぶりにも注目していただきたいと思いますので、是非、中山競馬場までお越し下さい。

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424日(火)のブリーズアップセールでは競馬学校騎手課程生徒の騎乗ぶりにも注目して下さい。写真は2011JRAブリーズアップセールで騎手課程生徒を背に軽快な走行を披露したJRAホームブレッドのマロンクン号(父:デビッドジュニア