当歳馬品評会&強い馬づくりのための生産育成技術講座(生産)
だんだん日も短くなり、冬の訪れを感じる今日この頃ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?当歳馬たちは現在、昼夜放牧を継続していますが、昨年同様厳冬期には「昼夜放牧群」と「昼放牧+ウォーキングマシン群」の2群に分けて管理し、データを集積していく予定です(写真1)。
さて、今回のテーマは、先日行なわれました当歳馬品評会のお話と、近々開催される「強い馬づくりのための生産育成技術講座」のご案内です。
写真1 昼夜放牧している当歳馬たち
当歳馬品評会
これは浦河町軽種馬生産振興会青年部の主催で、一時期開催されていなかったそうですが昨年より再開されました。今年はJRA日高育成牧場を含む7つの牧場が参加し、各牧場を巡回する方式で行なわれました(写真2)。参加者全員の投票制で「最優秀賞」「優秀賞1席」「優秀賞2席」が決められ、今年の「最優秀賞」は宮内牧場生産のソフィアルージュの24(牡、父エンパイアメーカー)が受賞しました(写真3)。また、「優秀賞1席」には田中スタッド生産のママラヴズマンボの2012(牝、父ホワイトマズル)、「優秀賞2席」には高村牧場生産のチェリーエンジェルの2012(牡、父エンパイアメーカー)が選ばれました(写真4)。
写真2 品評会の様子
(JRA日高育成牧場にて)
写真3 最優秀賞受賞馬
(宮内牧場 ソフィアルージュの24 牡 父エンパイアメーカー)
写真4 受賞者の皆さん
この当歳馬品評会の趣旨は、「これに向けて馬を仕上げていこう」というよりもむしろ日頃の管理のまま展示し、お互いに当歳馬の飼養管理について意見を交換し合い、勉強していこうというものです。昨年はお互い遠慮がちでしたが、再開2年目となる今年はだいぶ打ち解け、「飼料は何をどのくらい与えているか?」「昼夜放牧はいつまで継続する?」などといった基本的なことから、「この時期多発する皮膚病についてどう対処しているか?」「今年ローソニア感染症(※)にかかった子馬がいたが、こうやって対処した」など専門的な会話まで意見を交換することができ、非常に有意義なイベントとなりました。※ローソニア感染症につきましては、前回の当ブログを参照。
昼食時には学会などで行なわれる「ランチョンセミナー」を模して、JRA日高育成牧場で現在取り組んでいる「研究紹介」を行ないました。今回は昨年の「競走馬に関する調査研究発表会」で日高育成牧場から発表した演題のうち、「幼駒における近位種子骨骨折の発症に関する調査」について紹介し、ここでも活発な意見交換が行なわれました。夜は懇親会が行なわれ、酒の勢いも手伝って(?)生産者の皆さんの馬づくりにかける熱い気持ちが伝わってきました。我々の生産・育成研究の目的の一つが「生産地の様々な問題点を解決するため」ですが、このような交流を通して自分たちの牧場で生産しているだけでは気づかない、様々な問題を認識することができました。
強い馬づくりのための生産育成技術講座
JRA日高育成牧場では、毎年11~12月に「強い馬づくりのための生産育成技術講座」という講習会を行なっています。これは、生産牧場関係者向けに最新のトピックを紹介するものです。今年のテーマは「レポジトリー」「妊娠期の検査」「厳冬期の昼夜放牧」についてです。「レポジトリー」については、今まで獣医師向けにはたくさん講習会が開かれてきましたが、今回は生産牧場関係者の視点に立った説明をいたします。今までJRA育成馬で蓄積してきたデータをご披露し、大丈夫な所見、注意しなければならない所見について、解説していきたいと思います。「妊娠馬の検査」については、現在は獣医師による妊娠鑑定が種付け後5~7週を最後に行われ、その後は分娩まで何もしないという流れが一般的でしたが、近年胎盤炎など流産の原因となる疾患が血液中のホルモンの数値や超音波検査による胎盤の厚さの計測などで予測できるようになっています。それらについて解説いたします。最後に「厳冬期の昼夜放牧」についてですが、今年7月の「生産地における軽種馬の疾病に関するシンポジウム講演抄録」で紹介したJRAホームブレッドを「昼夜放牧群」と「昼放牧+ウォーキングマシン群」の2群に分けて行なった調査の2年分のデータを合わせて発表したいと思います。多数の皆様のご来場を心よりお待ちいたしております。
詳細は下記のとおりです。
強い馬づくりのための生産育成技術講座2012
JRA日高育成牧場では、競走馬の資質向上や生産育成関係者への情報・技術普及を目的として「強い馬づくりのための生産育成技術講座2012」を開催いたします。
入場無料で一般の方もご参加いただけます。皆様のご来場をお待ちしております。
開催日時および場所;
①平成24年11月7日(水) 18:30-20:30
北海道浦河郡浦河町 基幹集落センター堺町会館
②平成24年11月8日(木) 18:30-20:30
北海道沙流郡日高町 門別総合町民センター
研修対象;北海道地区軽種馬生産育成関係者
講演内容
・いまさら聞けないレポジトリー。その基本について知ろう!
中井健司(JRA日高育成牧場業務課)
・お腹の胎子は大丈夫?妊娠期の検査について知ろう!
南保泰雄(JRA日高育成牧場生産育成研究室)
・昼夜放牧のススメ。厳冬期の昼夜放牧は有効か?
遠藤祥郎(JRA日高育成牧場業務課)
司会進行 佐藤文夫(JRA日高育成牧場生産育成研究室)
日高軽種馬生産振興会青年部連合会
【共 催】
日高軽種馬生産振興会青年部連合会
【後援】
日高軽種馬農業協同組合
【お問い合わせ・連絡先】
JRA日高育成牧場 生産育成研究室
TEL:0146-28-2084(土・日・祝除く9:00~17:00)
※講演内容につきましては予告なく変更する場合がございますので予めご了承下さい。