ホルモン処置による乳母 ~その3~(生産)
導入初日、
2週間のホルモン剤投与により、1日で5リットルほど搾乳できるようになった乳母を、
子馬と引き合わせます。
乳母には鎮静剤を投与し、鼻の周りにはメントール軟膏を塗って嗅覚を麻痺させます。
また、子馬の馬服には乳母の糞尿をつけています。
乳母の膣内に手を挿入し、子宮頚管(子宮の入り口)を刺激します。
分娩時の感覚を誘発し、母性本能が覚醒されるといわれています。
1人が母馬を持ち、もう1人が子馬を乳房に誘導するとともに、
乳母の後方に子馬が行かないように気をつけます。
持ち手は、乳母が哺乳を拒絶した場合に、チェーンシャンク(※)で懲戒し、
逆に、哺乳を受け入れた場合には、褒美としてエサを与えます。
※鼻梁に強く作用し、リードを強く引くことで懲戒する道具
ある程度受け入れるようになったら、子馬と乳母だけにする予定でしたが、
乳母による子馬への拒絶行動(噛む、蹴るなど)が激しかったため、
人がついていないときには、乳母を馬房内に設置した枠場に入れました。
子馬は食欲旺盛で、噛まれても、蹴られても、決してめげることなく積極的に哺乳を続けてくれたことは救いでしたが、
想像以上に、乳母の受け入れは困難で、乳母の性格や子馬との相性の重要性を実感しました。
つづく