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セリと育成馬を知ろう会 in ひだか(日高)

 日高育成牧場のある浦河では、10月に入ってから一雨ごとに寒くなり、10月17日には日高山脈に初冠雪を、浦河でもほぼ平年並みの11月11日に初雪を認めました。しかし、例年は11月下旬から最低気温が氷点下に達する日も珍しくなくなってきますが、今年はそれほど寒さを感じる朝は少ない気がします。一方、日高育成牧場内のエゾシカ達に目を向けると、いつの間にか袋角(フクロヅノ)から枯角(カレヅノ)へと角を完成させて繁殖期を終え、さらに夏毛から冬毛へと衣替えも終えており、気温以上に日照時間で季節を感じているためなのか、我々よりも早く冬支度を終えているように感じています。

 

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 写真1.エゾ鹿達も袋角(左)から枯角(右)へと角を完成させて繁殖期を終え、さらに夏毛(左)から冬毛(右)へと衣替えも終えて越冬の準備を始めています。

育成馬の近況

さて、3群に分けて騎乗馴致を進めているJRA育成馬の近況をお伝えいたします。9月上旬から騎乗馴致を開始している1群(牡馬21頭)は、800m屋内トラック馬場での調教実施時には、一列縦隊で1周した後、手前を変えて二列縦隊でキャンターを2周、合計2,400mのキャンターを行っています。また、1群の牡馬は11月中旬からBTCの1600mトラック馬場においても1周のキャンター調教を行っています。4月上旬に行われる育成馬展示会の調教供覧場所となるこの屋外コースは12月から3月までクローズされるため、展示会の馴致も兼ねて、F23~20程度のスピードで真直ぐ走行させることを目的として調教を実施しています。1600mトラック馬場のクローズ後は、週2回の坂路調教を開始しています。

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写真2.1600mトラック馬場ではある程度のスピード(F23-20)で前馬に頼らず真直ぐ走行することを目的としているため、前馬とは一定の距離を維持します。

また、10月初旬から騎乗馴致を開始している2群(牝馬22頭)は、800m屋内トラック馬場において二列縦隊でのキャンターが可能な段階にまで進んでおり、合計2,400mのキャンターを行っています。

一方、10月下旬から騎乗馴致を開始している牡と牝が混在する3群も800m屋内トラック馬場でのキャンター調教を実施できるまでになりました。特に3群はキャンターを初めて間もないため、競走馬の礎となる①前に(Go forward)、②真っ直ぐ(Go straight)、③落ち着いて(Go calmly)走行させることを主眼に置いて調教を進めています。

 

動画.11月最終週の1群の牡(前半の角馬場での速歩からトラックでの併走調教まで)および2群の牝(後半の角馬場での速歩から縦列調教まで)の調教動画。

※なお、ゼッケン番号とブリーズアップセール番号は異なりますので、ご注意ください。

 

セリと育成馬を知ろう会

ここからは、少しさかのぼって10月9日~10日にJRAの馬主の方を対象に開催させていただきました「セリと育成馬を知ろう会inひだか」についてご紹介いたします。この企画は比較的馬主歴の浅い方々に対して、「馬の見方の理解」「馬のライフサイクルの理解」「調教師との交流」あるいは「セリ市場での購買に向けた体験」をしていただくことを趣旨に、昨年に引き続き、HBA日高軽種馬農協主催のもと、JRA馬事部生産育成対策室および当場が協力する形で実施されました。

初日はHBAオータムセールにおいて、市場施設や上場馬の比較展示およびセリ風景を見学し、購買までの流れやレポジトリーに関する説明が行われました。そして、夜には馬主の方々と調教師との交流の場が用意されました。2日目は、広大な日高育成総合施設(BTC軽種馬育成調教センターが管理・運営)の見学、JRA育成馬(1歳馬)の調教の見学、「騎乗馴致」に関する講義、さらにはJRA育成馬を使用して、実際にセリでの「馬の見方」に関する説明が行われました。

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写真3.「セリと育成馬を知ろう会in ひだか」では、JRA育成馬を使用して「馬の見方」に関する説明が行われました

このような企画が、馬主の方々に「セリ市場に参加したい」あるいは「競走馬を所有したい」という意欲を持っていただくきっかけになるよう、今後も協力させていただきたいと考えています。なお、来年3月には「育成馬を知ろう会in宮崎」をJRA宮崎育成牧場にて開催予定です。お問合せは、JRA馬事部生産育成対策室までご連絡願います。