育成馬ブログ 日高②
○ 騎乗馴致、はじめました
オータムセールが終了した北海道では、季節は秋から冬へと移り変わります。紅葉していた木々は葉を落とし、朝夕の気温が10℃を越えることも殆どなくなりました。まもなく訪れる冬に向けてあわただしく準備が進む日高育成牧場から、育成馬の近況を報告します。
●オータムセール購買馬の入厩
HBA北海道市場で開催されたオータムセールにおいて、JRAは2頭の牝馬を購買しました。10月10日にこの2頭が日高育成牧場へ入厩し、当場には今季育成する59頭(市場購買馬52頭、JRAホームブレッド7頭)が揃いました。オータムセールで購買した2頭は、今月20日まで環境に慣らしたのちに騎乗馴致を開始していく予定です。
●育成馬の近況
今季の騎乗馴致も、例年通り全59頭を3つの群に分けて実施しています。9月8日から開始した第1群(牡23頭)の騎乗馴致は全馬無事に完了し、現在は800m屋内トラックにおいて速歩1周・駆歩2周程度の調教を行っています。9月29日に開始した第2群(牝22頭)は装鞍してのランジング・ドライビングをじっくり行いつつ、馬房や外での騎乗に徐々に慣らしている段階です。オータムセール購買馬を含む3群は現在、騎乗馴致をスムーズに行えるようにプレ馴致(引き馬や手入れの練習、タオルや「ストラップ」と呼ばれる馴致道具を使って慣れさせる作業など)を行いながら人との信頼関係づくりに励んでいます。
長いこと馴致を続けていると、扱いやすい馬が年々増えていることに気付きます(10年前には馴致がこれほど順調に進められるようになるとは思いもしませんでした!)。これは、生産牧場で産まれてすぐからしっかり手をかけていることや、育成牧場やコンサイナーにおける馬の取扱い技術が向上したためだと思います。日本の生産育成技術は非常に高く、年々向上していることを肌で感じます。
YouTube: 20141010 JRA日高育成牧場 調教風景(縦列調教)
動画1.誘導馬を先頭に速歩・駆歩調教を行う第1群(牡馬)の調教状況。この日は前を走る馬にぴったりついて行き、後ろでしっかり我慢させる縦列調教を行いました。全馬落ち着いて調教できています。
●BTC研修生の馴致実習
日高育成牧場ではBTC(軽種馬育成調教センター)研修生の馴致実習を受け入れており、現在32期研修生19名が実践研修に励んでいます。彼らは3週間という短期間でランジングの方法やローラーの装着、ドライビング、そして騎乗に至るまで一連の馴致過程を学びます。はじめて扱う育成馬に動揺しながらも日々着実に成長していく今後の競馬界を担う若者たち。競走馬になるJRA育成馬で得た経験は、優秀なホースマンになる上での大きな財産になることと思います。
写真1.育成馬を用いた騎乗馴致の実践研修。研修生たちは育成馬の取扱いや馴致方法を学びながら日々成長していきます。写真はドライビングを行う研修生とバクシンスクリーン13(牡、父:ヨハネスブルグ、JRAホームブレッド)
●「セリと育成馬を知ろう会inひだか」 の開催
今年もHBA北海道市場が主催するイベント「セリと育成馬を知ろう会inひだか」が開催されました。イベント2日目となる10月9日には5名の馬主関係者の皆様に当場までお越しいただき、調教施設見学やJRA育成馬の馴致見学、育成馬を用いた「馬の見方」解説や注目育成馬紹介などを行いました。お越しいただきました皆様には、好天のもと育成馬の姿や騎乗馴致が行われる様子をご覧いただき、ご満足いただけたのではないかと考えております。遠路はるばるお越しいただきました皆様に、この場を借りてお礼申し上げます。日高育成牧場では、みなさまのご来場をいつでもお待ちしています。成長したJRA育成馬の姿をご覧いただければ幸いです。
写真2.イベントの最後にはホームブレッド7頭を含む当場の注目馬12頭を、比較展示の形でご覧いただきました。
以上が日高育成牧場におけるJRA育成馬の近況です。10月中の毎週水曜日、日高育成牧場バスツアーでは「育成馬の馴致見学」を行っています。一般のお客様も騎乗馴致をご覧いただけますので、馴致も進み活気づいてきた当場にぜひ足をおはこびください!