育成馬ブログ 生産編⑤ 「その2」
離乳後の子馬の取扱い 馬房内での張り馬
馬房内での手入れについては、離乳後から張り馬で実施しています。
当場では、馬房の奥の壁に1本のチェーンで張っています。
このように、出入口に対して後ろ向きに張る理由として、
「出入口に向かって出て行こうとしない」
「出入口が見えないので馬が安心できる」
「後方からの人の接近に慣れさせることができる」
「人を蹴らないことを教えることができる」などの様々な利点があります。
後ろ向きの張り馬により、後方からの人の接近に慣れさせることができる
この他にも、後方から与えるプレッシャーで、馬が左右に動くことを覚えることは、騎乗馴致におけるドライビング、その後の騎乗における「馬の後方からの指示」にも繋がります。
張り馬での後方からの指示は、その後の騎乗にも繋がる
張り馬の馴致では、最初は引き手をリングに通して、2名1組で慣らします。慣れてきたら徐々に「タイチェーン」を使用して張り馬をします。
最初は引き手を通して張り馬をする
タイチェーン:馬側の段端にはナイロン紐を装着し、外傷・馬具破損を予防
馬によっては、立ち上がったり、後退したりすることで、チェーンを破損する癖がつくことがあります。このような場合には、引き手を引っ張って、抑え込むのではなく、後方からプレッシャーをかけて、大人しく駐立したらプレッシャーを「オフ」にして安心感を与えながら時間をかけて慣らしていきます。
立ち上がる場合、引っ張るのではなく、後方からプレッシャーを与える
当場のように、子馬をほぼ1年とおして昼夜放牧している場合には、人と馬が接する時間は限られてきます。1日のうち、多くの時間は馬同士で過ごすことにより、馬本来の自然な生活をしてもらう一方で、収放牧や手入れなど、人と向き合ったときには、しっかりと人に対する信頼感や安心感を育んでもらいたいと思います。