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育成馬ブログ 生産編⑦ 「その1」

厳冬期の昼夜放牧

 JRA日高育成牧場では、この1~2月の厳冬期を含めて、通年昼夜放牧で子馬を管理しています。

今回はこの「厳冬期の昼夜放牧」について、馬体や競走期パフォーマンスに及ぼす影響について触れてみたいと思います。

 

馬体に及ぼす影響

現在はホームブレッド全頭に対して、厳冬期の昼夜放牧を実施していますが、2010~2012年に生まれた子馬については、11月から翌年3月まで「昼夜放牧群」と「昼放牧+ウォーキングマシン(以下WM)群」に分けて調査を行っていました。

(この期間以外は、生後1ヶ月から騎乗馴致開始前まで昼夜放牧を実施)

 

この調査によると、1~2月にかけての成長ホルモン様の作用を持つ「プロラクチン」の分泌が、昼夜放牧群では、昼放牧+WM群と比較して低い傾向にあることがわかりました。

また、心電計を用いた検査では、昼夜放牧群において、副交感神経の活動が優位、すなわち、「身体の代謝が低く抑えられている」ことがわかりました。

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すなわち、厳冬期における昼夜放牧は「子馬の成長や代謝を抑制する」との結論が示されました。

 

しかし、実際の馬体成長を比較してみると、体重、体高、胸囲、管囲のいずれの増加率も両群で有意差がないことがわかりました。

このことから、厳冬期の昼夜放牧を実施した場合、たとえ、プロラクチンの分泌濃度が低くても、「馬体の成長に及ぼす程の影響はなかった」と考えられました。

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あえて、馬体に及ぼす影響をあげるなら、冬毛が伸びるため、春時期においても毛づやの悪さが目立つことかもしれません。

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(次回につづく)