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育成馬ブログ 日高③

○  厳しい寒さの中で(日高)

  去る11月24日、JRA日高育成牧場のある北海道浦河町では例年より少し遅めの

初雪が観測されました。11月までは気温も少し高めで過ごしやすい日も多かった

今冬ですが、ここにきて寒さが厳しくなってきました。毎日の最低気温は氷点下に

達し、放牧地の水桶は凍りついています。寒さに呼応するように、育成馬たちの調教

メニューはどんどん強度を増していきます。

 

育成馬の近況

 JRA育成馬の近況をお伝えします。9月初旬に馴致を開始した第1群(牡23頭)は

屋内800mトラックで1周+2周の縦列調教(ハロン24-22秒程度、前馬との距離:

1馬身)を繰り返し行い、前後の馬に慣らし真っ直ぐ走る訓練を行ってきました。

11月には屋外1600m馬場での縦列調教(1周:ハロン22秒程度)も併用し、馬場

凍結のため1600m馬場が使えなくなった27日からは屋内坂路馬場でのキャンター

調教を開始しました。屋内坂路馬場で調教する日は屋内800mトラックでキャンター

2周のウォーミングアップをしてから坂路を1本駆けあがります。現在は馬場に慣らす

ことが主目的で、体力がつくのを待って強度をあげていきます。


YouTube: 屋外1600m馬場で駆歩調教を行う第1群の牡馬

 

動画1.屋外1600m馬場で駈歩調教を行う牡馬たち。

先頭からハンプトンコート14(父:バゴ)、パピュラ14(父:サマーバード)、

カネマサバレリーナ14(父:スマートファルコン)、

ゴッドビラブドミー14(父:デュランダル)、クルミ14(父:ストリートセンス)、

シルクアウローラ14(父:ケイムホーム)。

 

 また、10月初旬に馴致を開始した第2群(牝21頭)は現在、屋内800mトラックで

1周+2周の縦列調教(ハロン26-24秒程度、前馬との距離:1馬身)を繰り返し

行っている段階です。当初は落ち着きのない馬や我慢のきかない馬もいましたが、

ここにきて綺麗な隊列で安定した調教ができるようになりました。力強い走りをみせて

くれる馬も増えてきて、日々の成長を肌で感じることができます。まもなく、屋内坂路

馬場での調教を開始する予定です。


YouTube: 屋内800mトラックで駈歩調教を行う第2群の牝馬

 

動画2.屋内800mトラックで駈歩調教を行う牝馬たち。

先頭からタヒチアンメモリ14(父:フリオーソ)、

サンセットロード14(父:ロージズインメイ)、

ハローオンザヒル14(父:ゼンノロブロイ)、フェルガーナ14(父:サマーバード)、

ダノンスズラン14(父:ステイゴールド)。

 

 最後に馴致を開始した第3群(牡7頭、牝8頭)はまもなく馴致を完了できるところまで

きています。現在は屋内800mトラックで行う両手前1周ずつの縦列調教を通して、

現段階の目標と考える①前に(Go forward)、②真っ直ぐ(Go straight)

落ち着いて(Go calmly)走ることを教えています。第3群の15頭は段階的に

無理なく調教強度を増やしていき、年内に1・2群と合流することを目指しています。


YouTube: 屋内800mトラックで駈歩調教を行う第3群

 

動画3.屋内800mトラックで駈歩調教を行う第3群の馬たち。

先頭からトミケンソリッド14(牝、父:アンライバルド)、

誘導馬をおいてリスキーディール14(牡、父:シンボリクリスエス)、

シャトルシャロン14(牡、父:ヨハネスブルグ)、

クィーンマーメイド14(牡、父:トビーズコーナー)、キャリコローズ14(牡、父:パイロ)、

イフリータ14(牝、父:ケイムホーム)

 

育成馬検査を実施しました

 11月25日、26日にJRA馬事部生産育成対策室の職員が来場し、育成馬検査を

行いました。この検査は購買以降の馬体の成長具合や調教進度などを確認する

定期検査で、騎乗馴致が終わる11月下旬と調教が本格化する1月中旬の計2回

実施しています。

Photo

 この検査の主目的は現時点の馬の状態を把握することですが、育成馬と毎日

接している我々が見落としている点や「お客様が来られた時にいつでも対応できる

準備ができているか」を確認することも目的にしています。検査では「馬がよく躾け

られており美しく手入れされ、かつ人馬の一体感を感じさせる展示・引馬(リード)が

行えるか」をみるベストターンドアウト賞の審査も併せて実施しました。審査では、

これまでの騎乗馴致で培ってきた人馬の信頼関係や日頃の手入れ、何より「お客様に

見て頂く」姿勢が試されます。育成馬には「見られる」経験を積み重ねることで落ち

着いた展示ができるようにしつけ、購買関係者の皆様が来場された際に楽しんで馬を

みていただけるよう訓練しています。

  北海道はこれから本格的な冬を迎えます。日々成長していく育成馬の姿を見に、

ぜひ日高育成牧場まで足を運んでください。皆様のお越しをお待ちしております。