« 育成馬ブログ 日高④ | メイン | 育成馬ブログ 生産編⑤「その1」 »

育成馬ブログ 宮崎⑤

○調教時における速歩について(宮崎)

  

 全国的に1月中旬になってようやく真冬と感じる寒さになりましたが、

今冬は暖冬との声が聞かれています。

南国宮崎も例外ではなく、正月三ヶ日には最高気温が20℃を超える日もありました。

 昨年と同時期の芝の状態(写真①)を比較してみると、

宮崎も暖冬であることが確認できます。

宮崎の短い冬は、あっという間に過ぎ去って行きそうです。                                                                                       

Photo                      

写真① 昨年と今年の同時期の芝状態を見比べると、暖冬であることが明らかです。

 

育成馬の近況

 

 宮崎育成牧場所属のJRA育成馬の近況をお伝えいたします。

最初にウォーミングアップとして

500mトラック馬場で直線をキャンター、

コーナーを速歩という調教を左右3周ずつ実施しています。

 その後は1600mトラック馬場に場所を変えて、

一列縦隊で2400mのステディキャンターを実施しています。

ハロン20秒程度のイーブンペースで走行し、基礎体力を付けるとともに、

馬群の中で落ち着いて走れることを目標に調教しています。

2月からは週に1回の強調教を実施する予定です。

 

Photo_2

写真② 1600m馬場で隊列を整えたキャンターを実施する育成馬。

先頭からサニーサイドの14(牝 父:ステイゴールド)、

ジョイオブフライトの14(牝 父:アイルハヴアナザー)、

プルームリジェールの14(牝 父:スマートファルコン)、

マイネミニケリーの14(牝 父:ニューイングランド)。

 

速歩調教

 

 騎乗馴致では、

前に(Go forward)、②真っ直ぐ(Go straight)、③落ち着いて(Go calmly)

走行させることを目標に掲げて取り組んでいます。

これを実現するために、初期調教時には、「速歩」に重点を置いています。

 

 その理由は、馬の動きを邪魔しないように騎乗すること、

つまり、騎乗者の重心と馬の重心とを一致させ、馬の動きを邪魔しないと同時に、

馬に人が騎乗することを許容させることこそが、馬の持っている能力を

可能な限り発揮させる上で重要なことであると考えているからです。

 

 つまり、速歩は対角に位置する前後肢がほとんど同時に動くことから、

3種の歩様の中で、重心の移動および頭頚の動きが最も少ない

という特徴があります。

 そのため、騎乗者は馬の重心に近い「鐙」の一点で体重を支えることによって、

騎乗者の重心と馬の重心とを一致させやすくなるとともに、

馬の背を解放することによって、馬の負担の軽減と

馬自身によるバランスでの走行が容易となるからです。

 

 さらに、馬自身によるバランスでの走行を馬が自ら習得できるように、

角馬場での8の字乗りや、キャンターと速歩との移行の繰り返しを実施します。

この繰り返しにより、

キャンター時にも真っ直ぐ落ち着いた走行が比較的容易になります。

 初期調教を終えた後も、前述のとおり、ウォーミングアップとして、

500mトラック馬場で「直線(約150m)をキャンター」、「コーナー(約100m)を速歩」

という調教を実施し、

毎日の「ルーティーン」という位置づけで、

馬自身のバランスで走行しやすい「速歩調教」を重要視しています。

動画 角馬場(10月下旬)および500mトラック馬場(1月中旬)での「速歩調教」の

様子。馬自身によるバランスでの走行を習得できるように、速歩とキャンターとの移行

を繰り返し実施しています。

 

育成馬検査

 

 1月中旬に育成馬検査が実施されました。

育成馬検査とは、JRA生産育成対策室の職員が

日高および宮崎育成牧場で繋養している育成馬を、

第三者の視点から市場での購買時からの馬体の成長具合、現在の調教進度、

馬の取り扱いなどをチェックし、ブリーズアップセール上場に向けての

中間確認を行う検査です。

検査に合わせて、

牡牝それぞれの「ベストターンドアウト賞」の審査が行われたため、

緊張感が漂う中、育成馬の調教供覧、展示および馬体検査が行われました。

Photo_3

写真③ 育成馬検査における「ベストターンドアウト賞」の審査で最優秀馬に選ばれた

ヴァルホーリングの14(写真左 牡 父:ジャングルポケット)と

プルームリジェールの14(写真右 牝 父:スマートファルコン)