育成馬ブログ 生産編⑤「その1」
・栄養管理・馬体情報管理ソフト「SUKOYAKA」がリリースされました!
JBBAから軽種馬牧場管理ソフト「SUKOYAKA」がリリースされました。
SUKOYAKAは、軽種馬の栄養管理と馬体情報管理をサポートするソフトで、
JBBA日本軽種馬協会のウエブサイトからダウンロード(無料)できます。
(こちらからダウンロードできますhttp://jbba.jp/assist/sukoyaka/index.html)
当ソフトは、「SUKOYAKA栄養」と「SUKOYAKA馬体」の二つで構成されています。
JBBA日本軽種馬協会のウエブサイトから、ソフトをダウンロード
・SUKOYAKA栄養
SUKOYAKA栄養は、各馬のステージにあった養分要求量を計算し、
現在与えている飼料の充足率を確認することができるソフトです。
簡単に言うと、
子馬であれば
「今与えているエサもしくは新たに導入しようとしているエサを与えることによって、
病気にならずに適切な成長ができるか」
妊娠馬であれば、
「母体も健康で、健康な子馬を出産することができるかどうか」
「それらのエサをどのくらい与えればよいのか」
これらを判断するうえでの目安を提示してくれるものです。
SUKOYAKA栄養
では、具体的な飼料設計の例を見ていきましょう。
ここでは22時間放牧の昼夜放牧をしている1歳馬(9ヶ月齢 馬体重350kg)の
飼料を考えてみます。
この時期、北海道では積雪があるため、
放牧草からの栄養摂取は考慮しないこととします。
(実際には積雪量によっては雪の下にある青草を食べますが)
まず、エンバク(カナダ産)とルーサン乾草で設計してみます。
この場合、SUKOYAKA栄養で計算すると、
DE(エネルギー)とCP(タンパク質)は充足していることが確認できます(図1)。
DE(エネルギー)とCP(タンパク質)の充足率(図1)
一方、銅や亜鉛など、欠乏症により子馬の骨軟骨症(成長過程における
軟骨の骨化不良により引き起こされる骨端炎、OCD、ボーンシストなどの総称)が
引き起こされるミネラル類については、充足率が14~15%であり、
明らかに不足していることが分かります(図2)。
銅や亜鉛などミネラルの充足率(図2)
では以下のようにエンバクの一部をバランサータイプの飼料に置き換えてみましょう。
エンバク3kgを2kgに減らし、代わりにバランサータイプ飼料1kgを与えます。
これにより、濃厚飼料を増やすことなく、
銅や亜鉛などのミネラルも充足することができました(図3)。
バランサータイプの飼料を利用した場合の充足率(図3)
ただし、エネルギー、タンパク質、ミネラルおよびビタミンの充足率が
すべて100%以上であれば良いかといえば、決してそうではなく、
あくまで計算上の目安でしかありません。
子馬の馬体成長や疾病発症に影響を及ぼす要因としては、
飼料から摂取する栄養以外に、遺伝や環境(気候など)なども無視できません。
あくまで算出された値を目安として、個体ごとの健康状態や発育の程度、
疾病の有無などを把握しながらの飼料調整が必要となります。
このため、定期的な馬体重や体高などの測定、
BCSや疾患の有無を確認するための馬体検査などの実施が推奨されます。
飼料設計には馬体重やBCSの測定による成長度合いの把握が必要
これらの体重測定や馬体検査で得られたデータは、
その都度の飼料設計に利用できるだけではなく、
継続的に複数年(複数世代)のデータを蓄積していくことで、
飼養管理方法の改善にもつなげることができます。
これをサポートするツールが「SUKOYAKA馬体」です。
つづく