育成馬ブログ 日高⑤
●ボディコンディションスコア(BCS)
日高育成牧場では、育成馬(当歳~2歳)と
繫殖牝馬に対して毎月1回(後期育成では月2回)の
ボディコンディションスコア(BCS)の評価を行うことで、
栄養状態の把握および給餌量の設定をしています。
今回のブログでは、このBCSについて説明します。
後期育成馬に対するBCS評価は毎月2回実施している。
○BCSとは?
「調教中の育成馬に対して、今の飼料の量は足りているのだろうか?」
このような疑問は、育成馬の飼養管理者にとっては
常日頃から頭を悩ませるものです。
飼料の給与量について考える際には、
その馬にとって適切なエネルギー量(カロリー)を
与えているか否かが重要ポイントの1つになります。
人間と同様に消費量を上回るエネルギーを与えた場合には太りますし、
不足する場合には痩せていくことになります。
もちろん、単なる見た目の問題だけではなく、
エネルギーの過不足はその馬自身の健康状態や
調教のパフォーマンスなどにも影響を及ぼします。
このため、個々の馬に応じて適切なエネルギー量を与える必要があり、
それを見極めるために重要な指標の1つが
ボディコンディションスコア(BCS)なのです。
BCSは脂肪の付き具合を数値化したもので、
脂肪がほとんど無く、削痩している状態の1点から、
極度の肥満の9点までの数値を用います。
例えば、馬の脂肪の付き具合を評価する場合に
「太っている」「やせている」という言葉ではなく、
「BCS8」「BCS3」という数値で表します。
○BCSの見方
馬のBCSは、馬体の6つの部位
「頸(くび)」「き甲」「肩後方」「肋部」「背~腰の脊椎」「尾根」を
対象としており、
これらの部位を観察して、実際に触ることにより、
脂肪の付き具合を確認します。
BCSを測定するためのポイントは、
これら6部位の骨の構造を理解することです。
やせている馬、すなわちBCSが低い馬は骨が見える、
もしくは骨を容易に触ることができます。
一方、太っている馬、すなわちBCSが高い馬は、
骨が見えない、もしくは触ることができません。
背中の場合には背骨、肋部の場合には肋骨が「見えるかどうか」を確認し、
もし見えない場合であれば「触れるかどうか」を確認します。
例えば、「肋骨が見えないが、容易に触ることができる」のであれば、
BCS5になります。
肋部のBCS5(普通):肋骨は見分けられないが触ると簡単にわかる。
さらに、骨の周囲の脂肪の厚さや量を感触で判断します。
例えば、脂肪がある程度ついているものの、
厚みがそれほどない場合には
弾力感をイメージする「スポンジ状」という言葉で表現されます。
一方、それよりも脂肪量が多く、
触ると沈み込むような感触を持つ場合には「柔軟」と表現されており、
「スポンジ状」よりも高いスコアとして評価します。
○BCS(ボディコンディションスコア)
BCS 1 (削痩)
・脊椎(胸椎、腰椎)の突起や
肋骨、股関節結節、座骨結節は顕著に突出している。
・き甲、肩、頸の骨構造が容易に認められる。
・脂肪組織はどの部分にも触知できない。
BCS 2 (非常にやせている)
・脊椎(胸椎、腰椎)の突起や
肋骨、股関節結節、座骨結節などが突出している。
・き甲、肩、頸の骨構造がわずかに認められる。
BCS 3 (やせている)
・肋骨をわずかな脂肪が覆う。
・脊椎の突起や肋骨は容易に識別できる。
・股関節結節は丸みを帯びるが容易に見分けられる。
座骨結節は見分けられない。
・尾根は突出しているが、個々の椎骨は識別できない。
・き甲、肩、頸の区分が明確である。
BCS 4 (少しやせている)
・肋骨がかすかに識別できる。
・背に沿って脊椎の突起が触知できる。
・尾根周囲には脂肪が触知できる。
BCS 5 (普通)
・肋骨は見分けられないが触れると簡単にわかる。
・背中央は平ら。
・き甲周囲は丸みを帯びるようにみえる。
・肩はなめらかに馬体へ移行する。
・尾根周囲の脂肪はスポンジ状。
BCS 6(少し肉付きが良い)
・肋骨上の脂肪はスポンジ状。
・背中央にわずかな凹みがある。
・き甲の両側、肩周辺や頸筋に脂肪が蓄積し始める。
・尾根周囲の脂肪は柔軟。
BCS 7(肉付きが良い)
・個々の肋骨は触知できるが、肋間は脂肪で占められている。
・背中央は凹む。
・き甲周囲、肩後方部や頸筋に脂肪が蓄積する。
・尾根周囲の脂肪は柔軟。
BCS 8(肥満)
・肋骨の触知は困難。
・背中央は凹む。
・き甲周囲は脂肪で充満。肩後方は脂肪が蓄積し平坦。
・尾根周囲の脂肪は柔軟。
BCS 9 (極度の肥満)
・肋周辺を脂肪が覆う。
・背中央は明瞭に凹む。
・尾根周辺、き甲、肩後方および頸筋は脂肪で膨らむ。
・ひばらは隆起し平坦。
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