活躍馬情報(事務局)
9月22日 土曜日の阪神9R(ききょうステークス)で、
日高育成牧場で生産・育成されたJRAホームブレッドのイッツクール号が、
スタートから先頭を譲ることなく、最後の直線でも粘りの走りを見せ、2勝目を
挙げました!
9月22日 4回阪神競馬6日目 第9R ききょうステークス 芝 1,400m
イッツクール号(タキオンメーカーの16) 牡
【 厩舎:武 英智 厩舎(栗東) 父:アルデバランⅡ 】
今後のさらなる活躍を期待しております。
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9月22日 土曜日の阪神9R(ききょうステークス)で、
日高育成牧場で生産・育成されたJRAホームブレッドのイッツクール号が、
スタートから先頭を譲ることなく、最後の直線でも粘りの走りを見せ、2勝目を
挙げました!
9月22日 4回阪神競馬6日目 第9R ききょうステークス 芝 1,400m
イッツクール号(タキオンメーカーの16) 牡
【 厩舎:武 英智 厩舎(栗東) 父:アルデバランⅡ 】
今後のさらなる活躍を期待しております。
○1歳馬によく見られる蹄病
8月の最終週、日高育成牧場にはサマープレミアムセールおよびサマーセール
で購買した1歳馬44頭が入厩しました。入厩時には、馬体照合や体重測定など
の後、獣医師と装蹄師で馬体検査を行いますが、今回のブログでは、その際に
装蹄師が確認しているポイントのうち、よく見られる蹄病について説明します。
①蟻洞
蟻洞とは、蹄の中にある分厚い丈夫な組織と軟らかい組織の結合が分離した
ものです。蹄の成長バランスの偏りや、硬い地面での激しい運動、急激な乾燥
や湿潤も原因もひとつです。痛みを認めない軽症例から、著しい痛みで歩様が
悪くなるような重症例まで症状によって様々です。
治療法としては、鑢やナイフで患部を取り除き焼烙、消毒し、広範囲のもの
には蹄鉄を装着することもあります。図1のように小さな亀裂のみに見えても、
患部を取り除いてみると広範囲で進行していることがあります(図2)。
図1.蟻洞(処置前)
図2.蟻洞(処置後)
②白線裂
白線裂とは白線が分離したものです(図3、4)。蹄が真っ直ぐではなく
広がって伸びるような「広蹄」や、蹄質不良、特に白線の組織が脆い蹄などが
発症しやすくなります。不潔な馬房、蹄の手入れ不足、蹄の持続的な湿潤、蹄
の過度な摩滅や伸びすぎ、あるいは硬地上の激しい運動などの要因が考えられ
ます。白線裂の内部には不潔な角質や土砂などを含んでおり、割目が浅いもの
では跛行しませんが、割目が深く神経や血管のある部分まで達するものは歩様
に支障をきたします。
治療法としては割目をナイフなどで綺麗に削り、消毒をします。普段から砂
などが詰まらないよう清潔にすることが重要です。痛みが強く肢が地面に着け
ないような症例には蹄鉄で保護することもあります。
図3.正常な蹄の白線
図4.白線裂
③裂蹄
裂蹄とは蹄壁の一部が割れて裂けたのです。蹄が真っ直ぐではなく歪んで生
えてくるような蹄に多く見られ、冬場など乾燥して蹄に水分が少なくなり硬く
なると割れやすくなります。(人間の爪が冬場に乾燥し割れやすくなるのと同
じです)。軽症例では痛みほとんどありませんが、重度になると裂け目が神経
や血管のある部分まで達し、出血し痛みが出る場合があります。
治療法としては蹄のバランスを整え、裂け目が現状以上進まないよう綺麗に
削り、蹄用の接着剤などで抑えることもあります。
図5.裂蹄
入厩時は初めて見る馬達ばかりなので、この様な疾病等を見逃さないように
注意してより深く観察し、重症化する前に早急に対処する必要があります。
そのため日高育成牧場では獣医師と装蹄師が連携して様々な疾病の早期発見・
早期治療に努めています。
9月17日 月曜日の中山2R(2歳未勝利戦)で、
宮崎育成牧場で育成されたメイスンハナフブキ号が、
並み居る強豪馬をゴール直前でかわし、初勝利を挙げました!
9月17日 4回中山競馬5日目 第2R 2歳未勝利牝 芝 1,600m
メイスンハナフブキ号(アグネスフィーバーの16) 牝
【 厩舎:小島 茂之 厩舎(美浦) 父:エイシンフラッシュ 】
今後のさらなる活躍を期待しております。
○ 米国の伝統的な離乳方法
離乳の季節になりました。当ブログでは今までに何度か離乳について
取り上げていますが、今回は米国の伝統的な離乳方法についてご紹介します。
● 米国の種付方法
米国の伝統的な離乳方法を理解する前に、種付についてお話しします(図1)。
米国ケンタッキー州では牧場が密集しており、どの牧場からどの種馬場まで
種付に行っても1.5~2時間で帰ってこれる距離にあります。そのため、子馬の
輸送ストレスや感染症のリスクを考え、子馬を馬房内に置いて母馬のみ種馬場
に連れて行くというスタイルが普及していました。この方法が安全に行える
ように、米国の馬房は馬栓棒ではなく扉が備え付けられていました。また、
子馬が怪我をしないように母馬が種付に行く際には水桶や飼桶は外されて
いました。ちなみに、母馬は牧場スタッフではなく輸送業者が連れて行き、
帰厩時は興奮した母馬が子馬を蹴ることを防ぐため最初の授乳までスタッフが
母馬を保定していました。
図1 米国では子馬を馬房内に置いて種付に行く
● 米国の伝統的な離乳方法
種付と同じく、離乳の際にも子馬を馬房内に置いて母馬を引いて他の放牧地
に移すというのが米国の伝統的な方法でした(図2)。前述したとおり、米国
の馬房は安全性を考慮し扉が備え付けられており、さらに離乳の際には水桶や
飼桶などの突起物が撤去されます。母馬が別の放牧地に移動し、鳴き声が届か
なくなってから子馬たちはもともと放されていた放牧地に出され、そのまま昼
夜放牧がなされていました。
図2 米国の伝統的な離乳では子馬を馬房に残して母馬を移動させる
●「間引き法」での離乳
上記の方法はあくまでも伝統的なやり方であり、米国でも現在JRA日高育成
牧場が行っているのと同じく「間引き法」での離乳を採用している牧場も多く
ありました。JRA日高育成牧場で行っている「間引き法」は、まずリードホー
スとして母性本能の強い子育て経験の豊富な子なし牝馬を放牧地の中に導入
し、その後、1週目に母馬を2頭、2週目に3頭という感じで母馬を間引いてい
き、徐々にリードホースと子馬だけにするという方法です(図3)。母馬を間
引かれて不安な気持ちになっている子馬の周囲にリードホース、まだ離乳の終
わっていない母子、離乳が終わってすでに落ち着いた子馬がいるため、離乳さ
れた子馬も徐々に落ち着きを取り戻し、ストレスを軽減することができます。
最後にはリードホースを移して子馬だけの群れにします。
図3 JRA日高育成牧場で行っている「間引き法」
米国の伝統的な離乳方法も間引き法も、根底にあるのは「子馬の環境は変え
ずに母馬を移動させることで子馬にかかるストレスを軽減する」という考え方
です。今回の記事が離乳前後の子馬の管理に少しでもお役に立てば幸いです。