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育成馬ブログ(2020年 日高③-1)

JRA育成馬の近況 その1

今回の育成馬日誌では、1月現在の日高育成牧場におけるJRA育成馬の調教の進捗状況をお伝えしたいと思います。

11月まで基礎体力をつけるメニューをこなしてきた育成馬は、12月に坂路とトレッドミルで強い負荷をかける調教を開始し、年末年始に一時的に楽をさせた後、1月中旬から強い調教を再開しています。

現時点での調教内容は、
・強調教は屋内ウッドチップ坂路とトレッドミルで実施。翌日はハッキングもしくはウォーキングマシンでの軽調教のみ。
・強調教の頻度は2週間に3回程度(中4~5日)で、乳酸値が10~15mmol/Lになる強度にスピードを設定。
・上記以外の日は、屋内800mダート馬場と屋内ウッドチップ坂路でF22程度のステディキャンター。距離は計2200~2400m。
・ステディキャンターの際は、縦列調教で馬と馬の間隔を1~2馬身。

このように、乳酸値10mmol/L以上の強い調教を行うことで有酸素運動能力の向上を図るとともに、若馬の馬体成長やメンタル面を注視して、各馬の運動負荷が可能な限り適切になるように調整しています。
例えば、調教後の乳酸値が15mmol/Lを大きく超えた場合、次回の調教は10mmol/L程度になるようにスピードを調整する。テンションが高く、坂路で簡単にスピードが出てしまう馬については、併走ではなく単走にして精神面のコントロールに努めるなど、個々の馬に応じたきめ細かいメニュー調整をしています。
また、ステディキャンターでは、前の馬との間隔を1~2馬身に詰めてキックバックに慣れさせるような調教も行っています。競馬で走行する際の「馬群」に順応させることが目的ですが、このような調教は若馬にとって体力向上と同等かそれ以上に重要と認識しています。

https://youtu.be/vkUohtLSTXU
坂路でのステディキャンター(F22程度のスピード)では、前の馬との間隔を1~2馬身に詰めてキックバックに慣れさせるような調教を行っています。

https://youtu.be/6nX46mb0xqw
トレッドミルでの強調教(アートオブビーン2019 父クリエイター めす)。乳酸値が10~15mmol/Lになる強度にスピードを設定。この馬の場合、この日は速度13m/s、傾斜6%で3分間のギャロップを実施し、調教後の乳酸値は13.8mmol/Lでした。

この時期になると、前進気勢があり、スピードを容易に出すことができる馬が頭角を現してきます。次回の育成馬日誌では、そのような馬についてピックアップして紹介したいと思います。お楽しみに!