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育成馬ブログ(宮崎③)

〇「強い馬づくり」を目指す生産育成研究業務

 
 JRA育成馬は、2歳4月のブリーズアップセールへの上場、そしてその先に待つ競走馬としてのデビューを目指して、日々トレーニングに励んでいますが、その過程において、様々な研究にも供されています。これはJRAが育成馬を用いて行う「強い馬づくりを目的とする生産育成研究」であり、その内容は、JRAホームブレッドの生産を通じた繁殖学的研究や子馬の飼養管理に関するものから、育成期の疾病が競走馬としてのパフォーマンスに与える影響についての調査研究、アスリートとしての競走馬に関する運動生理学的研究など多岐にわたります。今回はその中から、宮崎育成牧場において行っている「トレッドミルを用いた育成馬の走行フォーム解析」について簡単にご紹介したいと思います。

 
 この研究では、競走馬総合研究所・運動科学研究室の協力のもと、脚部にマーカーを装着した育成馬を、7%の傾斜をつけたトレッドミル上で7~12m/sの速度で走らせた時の走行フォームをハイスピードカメラで撮影・解析します。これを2歳の1月と4月の2回にわたって行い、育成調教期間を経たことによって生じる変化を調べようというものです。馬の走行フォームに関する研究報告は少なくありませんが、こと育成期のサラブレッドについてはあまり知られていません。日々の調教や馬体の成長によって、育成馬の走行フォーム(ストライドの長さやピッチの速さなど)がどのように変化するかを知ることは、育成調教の方針を決める上で有用な知見となると考えられます。また、この研究の対象となった育成馬が、競走馬となってどのような成績を残したかを調査することによって、育成期の走行フォームと競走馬としてのパフォーマンスの関連性についても何らかのヒントが得られるかもしれません。この研究によって、直ちにJRA育成馬のパフォーマンスが向上するわけではありませんが、このような地道な基礎研究によって得られた結果をもとに、生産育成技術をより良いものに発展させ、それを広く日本中の馬関係者に普及することが、JRAが行う生産育成研究業務の大きな目的の一つです。

 

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【写真1】トレッドミルを走行する育成馬

 

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【写真2】 ハイスピードカメラでの撮影風景

  

〇キャンプのメッカ宮崎

 
スポーツファンの方はよくご存じだと思いますが、ここ宮崎県は冬でも比較的暖かい地理的特性から、プロスポーツチームの春季キャンプ開催地としてよく知られています。今年も1月下旬から県内各地において、プロ野球は8球団、Jリーグからは約20チームが、来たるべきシーズンに向けて始動しています。コロナ禍の状況で様々な制限はあるものの、たくさんのファンの方々がキャンプ地を訪れてトップアスリートのトレーニング風景を楽しんでいるようです。これに倣って、というわけではありませんが、宮崎育成牧場でも普段見ることができないJRA育成馬を間近で見学できるイベントを定期的に開催しています。主に地元の方々を対象として、育成馬を通じて馬という動物や競馬をより身近に感じていただくきっかけとなれば、という思いで取り組んでいますので、お近くにお住まいの皆様、機会があれば是非足をお運びください!

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【写真3】宮崎で行われる春季キャンプの案内マップ(宮崎県観光協会HPより)

 

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【写真4】育成馬見学会の様子