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23-24育成馬ブログ(日高)

セリで購買した後から騎乗馴致開始前までの管理

 
 サマーセールも終わり、現在日高育成牧場では48頭(ホームブレッド6頭、市場購買馬42頭)のJRA育成馬を繋養しています。今回は、セリで購買した後から騎乗馴致開始前までの管理についてお話したいと思います。

 

 セリ上場馬の中には見栄えを良くするため、1歳セリ時点でボディコンディションスコア(以下BCS)が6.0前後に高められている馬が散見されます。このようにBCSが高められた状態で運動を開始するのは、故障を誘発することに繋がるなど、好ましくないのではないかと考え、当場ではセリで購買した馬は全頭、騎乗馴致を始める前まで昼夜放牧を行い、BCSを5.0前後まで落としています(写真)。今シーズンも、セレクションセール購買馬は8月2~30日までの4週間、サマーセール購買馬は8月30日~9月26日までの4週間昼夜放牧を行い、馬が自然な体を取り戻すのを待ってから騎乗馴致を開始する予定です。

 

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(写真)騎乗馴致開始前に昼夜放牧を行い、自然な体に戻す

 

 ここ4年間、サマーセールで購買した馬は、騎乗馴致を早く開始することを優先し、昼夜放牧を行っておりませんでしたが、昨シーズンは4週間程度 昼夜放牧する期間をつくりました。その結果、年間を通してBCSが4.5前後と無駄のない、運動に適した状態でトレーニングを続けることができました(図1)。

  

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(図1)過去3シーズンのJRA育成馬のBCS

 

 BCSが4.5前後という余分な脂肪がついていない馬体を維持した結果、例年以上に順調に調教を積むことができました。例年であればブリーズアップセール(以下BUセール)で10頭前後が欠場するところ、今年はわずか3頭の欠場で済み、そのうち運動器疾患を理由に欠場した馬は1頭のみでした(表)。BCSを下げたことが全ての要因だとは思いませんが、運動器疾患による欠場の減少に、少なからず貢献したのではないかと考えています。

 

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(表)過去3シーズンのBUセール欠場率

 

 我々が管理しているJRA育成馬は1歳から2歳にかけての若馬で、まだまだ馬体が成長する時期にあります。上記のようにBCSが低い状態で調教することは運動器疾患の予防に効果がありそうですが、一方で飼料が足りないことにより成長を阻害してしまっては問題です。体重の推移も過去2シーズンと比較しましたが、順調に増加しており、給餌量には不足がなかったと考えられました(図2)。

 

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(図2)過去3シーズンのJRA育成馬の馬体重

   

 以上、今回はセリで購買した後から騎乗馴致開始前までの管理についてご紹介いたしました。具体的な給餌量などJRA育成馬(日高育成牧場)の管理・調教方法について次回以降も順次ご紹介していきたいと思います。