« 活躍馬情報(事務局) | メイン

26-27育成馬ブログ(宮崎①)

安全な調教のための馬場整備

疾病発症の要因となる馬場状態
 本年もセリで購買した育成馬たちが入厩してきました。これから騎乗馴致を開始し、競走馬に向けてのトレーニングを進めていきます(写真1)。競走馬として活躍することを目指して徐々に強い調教負荷をかけていきますが、調教を行う中で避けられないこととして、馬の怪我があげられます。人間のアスリートでも同様ですが、調教強度と怪我の発症率は比例の関係にあり、調教強度を上げると(運動負荷が上がると)どうしても怪我を発症するリスクも上がってしまいます。

Photo

写真1 ランジングを行うプリズマティコ2025              

これから調教負荷が徐々に増加していく

 怪我を防止するためにはいくつかの方策があり、ウォーミングアップ(準備運動)やクーリングダウン(調教後の運動)を念入りに実施することや調教後の馬体のケア(肢の水冷や筋肉痛への物理療法)などがありますが、適切な馬場整備も非常に重要です。今回は宮崎育成牧場での馬場整備についてご紹介します。

ダートコースの砂厚調整
 宮崎育成牧場にはウォーミングアップの場所として使用している500m周回馬場と強調教実施時に使用している1600m周回馬場があります。各周回馬場はダートコースであり、調教終了後にハローと呼ばれる器具(写真2)を用いて整地し管理を行っています。ハローによる馬場整備は、競馬場でのレース間にも実施しており、ご覧になったことがある方もいると思います。

Photo_2 写真2 ダート馬場整備に用いる爪ハロー
  爪ハローによって馬場の蹄跡を整地することができる

 日常的な馬場管理はハローで十分ですが、調教時に馬が同じ場所を通ることで、馬場の場所によっては砂厚に差が出てしまいます。例えば、500m周回馬場においては、走路の真ん中を通って騎乗することを指示しており(写真3)、その結果として走路の中央部分の砂厚が極端に薄くなってしまいます(表1)。表で示した時点の砂厚測定では、平均値で走路の内側で8.4cm、走路の真ん中で3.9cm、走路の外側で12.0cmという結果でした。明らかに走路の真ん中の砂厚が薄くなっている様子がお分かりいただけると思います。また、地点ごとでも砂厚が大きく異なっていることも問題となり、それらの要因によって、馬が躓いたりミスステップをしたりすることが疾病発症の原因となります。

Photo_3 写真3 500m周回馬場では走路の真ん中を走行
この結果として馬場の中央の砂厚が薄くなってしまう

 このような砂厚の不均衡を改善するためには、モーターグレーダーやレベルハローといった専用の重機や機材による調整が必要となります。宮崎育成牧場では、育成馬の調教が始まる前に500m周回馬場と1600m周回馬場の砂厚調整を行っています。砂厚調整には専門の知識と技術が必要なことから、外部業者に作業を委託するため、費用がかかってしまいますが、育成馬の安全のためには不可欠な作業であると考えています。

砂厚調整と運動器疾患発症
 宮崎育成牧場における過去3年間の1週間以上の休養を要した疾病発症頭数を図1に示します。年によってばらつきはあるものの、調教を進めるにつれて疾病発症頭数が増えていることが分かります。当然、調教負荷の増加に比例して疾病発症が増加しているという要因が大きいと考えますが、砂厚調整の効果により疾病発症が抑えられているとも考えております。つまり、馬場状態が良く調教負荷の軽い9月~11月は疾病発症が少なく維持できていると思われます。今後も安全な調教が行える取り組みを進め、何かトピックがあればご紹介していきたいと思います。

表1 500m周回馬場の砂厚Photo_4

1

図1 過去3年間の1週間以上の休養を要する疾病発症頭数
   馬場状態が良く調教負荷の軽い9月~11月は疾病発症が少ない



宮崎育成牧場のインスタグラムのご紹介
 宮崎育成牧場では、公式のインスタグラムを運用しており、様々なイベント情報やJRA育成馬に関する育成馬情報を随時更新しています。興味のある方はぜひともご覧ください。

Photo_10