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2022年1月

2022年1月31日 (月)

名馬の骨格標本

 こんにちは、イギリスに滞在している臨床医学研究室の田村です。
 イギリスは競馬の発祥地であり、品種改良によってサラブレッド種競走馬を生み出しました。
 私が滞在しているRoyal Veterinary College(RVC;王立獣医大学)と競馬には深い関係があります。

 1700年代後半の英国競馬界にスターホースが現れます。その馬の競走成績は18戦18勝であり、無敗のまま引退しました。その馬のスピードがあまりにも速すぎたため、対戦相手が見つからず、競馬が成立しなかったとも言われています。

 その馬の名前はエクリプスです。競馬の歴史が好きな方はご存じかもしれませんが、「1着はエクリプス、その他に2着と認められる馬はいない(Eclipse first, the rest nowhere.)」という名言を生み出した歴史的名馬です。

 エクリプスは競馬界に多大なる影響を与えました。種牡馬としても優秀であり、サラブレッド種競走馬の成立に大きな貢献を果たしました。

Photo

 

 実はそのエクリプスの骨格標本がRVCには保管されているのです。標本になってから200年以上は経過しているはずですが、現在でも良好な状態で保存されています。
 骨格標本を前にすると、エクリプスが走っている姿や当時の競馬場の雰囲気を想像したくなります。
 RVCと競馬、双方の歴史と伝統を結びつける骨格標本です。

2022年1月20日 (木)

次世代シークエンサー〜細菌の遺伝子を読む〜

微生物研究室の内田です。
今日は当研究室の研究に使用している「次世代シークエンサー」をご紹介します。

次世代シークエンサーとは、生物の遺伝情報を調べる機械です。
微生物研究室では、馬の病気の原因になる細菌について研究をしています。
細菌について細かく調べていく中で遺伝情報が必要になった時は、次世代シークエンサーを使います。

今回はこの次世代シークエンサーを使って、馬の病気の原因になった「黄色ブドウ球菌」という細菌の遺伝情報を調べてみます。

まず、細菌から遺伝子を抽出します。
とても小さいので目には見えませんが、この中に細菌の遺伝情報が詰まっています。

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次に、次世代シークエンサーで調べることができるように、様々な試薬を使って遺伝子に「目印」をつけていきます。
細かい作業が半日ほど続きます。

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そして、目印をつけた遺伝子を次世代シークエンサーにセットして、
いよいよ解読開始です。
「Sequence!」

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翌日・・・
遺伝情報が解読されました。

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文字の羅列です。
これだけではよくわかりませんので、コンピュータで解析を行い、この細菌がどのような特徴を持っているのか調べていきます。

今回は、微生物研究室の研究の一部をご紹介しました。
なかなかイメージが湧きにくいと思いますが、このようにして得られた研究成果は論文などで発表しておりますので、ぜひご覧ください。

2022年1月 5日 (水)

イギリスの獣医大学について

 こんにちは、臨床医学研究室の田村です。

 私は馬間葉系幹細胞に関する研究をするために、イギリスのRoyal Veterinary College(RVC;王立獣医大学)に来ています。

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 RVCは伝統ある大学として知られており、今から200年以上前の1700年代後半に開学しています。開学当初から、英国における獣医学の代表的な存在であり、数多くの研究が実施されています。

 玄関前にはRVCの紋章が掲げられています。馬や牛、犬といった賑やかな様子ですが、しっかりと王冠が掲げられており、王立としての格式を示しています。

 私の所属研究室があるHawkshead campus場所はロンドン郊外にあります。イギリスの郵便番号精度は日本よりも細分化されていて、ほぼピンポイントで検索することができます。もし可能でしたら、グーグルマップの検索欄にAL97TAと入力し、検索してみて下さい。航空写真にすると、広大な農地にポツンと存在する建物を御覧頂けると思います。こうした立地は馬や牛等の大動物を扱うために必要なものでしょう。

 RVCは研究のみならず、大規模な動物病院があり、様々な動物種に対して最先端の治療を提供しています。特に馬獣医学に関しては積極的に取り組んできた歴史があります。近年では私の研究テーマである馬間葉系幹細胞を用いた研究および臨床応用を世界に先駆けて実現してきました。

 RVCの中庭は芝生庭園となっており、美しく整備されています。中央にはRVCのシンボルとなっている馬の大きな像があり、夜にはライトアップされています。  

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 イギリスには街中であっても広い敷地があり、馬をみかけることが多々あります。そうした環境が馬獣医学を育む土壌になってきたのでしょう。