北海道馬産地で蹄病について講演
競走馬総合研究所(総研)の桑野です。
先日、北海道静内にて日本軽種馬協会(公社)が主催する2つの講習会(生産者向け:写真1、装蹄師・獣医師向け:写真2)に講師として呼ばれ、蹄病について講義をさせていただきました。生産地の熱気をお伝えするべく筆を取ります。
写真1.静内エクリプスホテルで開催された生産者向け講習会。(満員御礼)
写真2.日本軽種馬協会の研修所で開催された装蹄師・獣医師向け講習会。(満員御礼)
歴史的に「ひづめ」とは皮爪(ひ・つめ)の読みに、さらに馬の基盤である足に相応しい漢字として帝を当てて「蹄」と書くようになったと伝えられています。大切な器官という認識の表れですね。現在では、蹄は角質だけでなく、蹄角質に覆われた全ての器官を指す用語として定義づけられています。
当然、蹄の病気についても関心が持たれるのですが、世界的にこれを研究している者は少ないです。病気を解明するには薄くスライスして顕微鏡で観察したり、その成分を水に溶かして生物・化学的に解明しなくてはいけないのですが、蹄を覆っている硬くて水に溶けない角質がこれを難しくしています。
競走馬総合研究所ではこの難問に挑戦して蹄病を研究し、対応方法を打ち出してきました。今回は、蟻洞(ぎどう)という蹄壁に空洞が発生する病気についてJRAトレーニングセンター(トレセン)の現状をお話ししました。競走馬はトレセンと生産地を行ったり来たりするので、蹄病はトレセン、生産地双方にとって共通の話題であり、トレセンでの出来事を知っておくことは生産地で働く人々にとっても有益な情報となるからです。
より良い競走馬を育てあげる技術は様々あると思いますが、その中に護蹄(ごてい)管理も含まれています。生産地の皆様は、それこそ足元から学び、大切な競走馬達を育て上げているのです。