屋内馬場でのモーションキャプチャを使った実験
運動科学研究室の胡田です。
前回の掲載(https://blog.jra.jp/kenkyudayori/2024/02/post-449c.html)では、野外データ測定について書きましたが、今回、屋内における大掛かりなデータ測定についてご紹介します。
先日、我々運動科学研究室は、一緒に研究をしている慶應大学のラボのスタッフと、北海道のJRA日高育成牧場に赴き、屋内800メートル馬場において人馬一体となる騎乗運動のデータを採取してきました。野外と異なり、天候に悩まされることなくデータを採取できる屋内での実験は大変嬉しいものでした。
さて前回の野外測定では、表面筋電図を採取することで走行中の個々の筋肉の活動状況を測定しましたが、今回はモーションキャプチャという、馬と騎乗者双方の動きを表面から解析するシステムを用いました。このモーションキャプチャは、CGアニメーションの作製、アスリートの動作解析、ロボットや車の動きの計測など多岐にわたる分野で使われている技術です。我々は、動作の特徴となる人と馬の関節の位置にマーカーをつけて、それぞれの動きを記録した後、デジタル化して分析しました。たくさんのマーカーを装着したり(写真1)、カメラやコード類を設置したり(写真2)と大がかりな実験になるため、屋内での騎乗実験とはいえ、なかなか大変でした。
写真1 馬にも人にもマーカーを装着して文字通り人馬一体となって測定開始
写真1 馬にも人にもマーカーを装着して文字通り人馬一体となって測定開始
実験で集まったデータをもとに、馬と騎乗者の走行時のフォームの解析を行い、双方の動きの特徴とその関連性などを探っていきます。こういったデータを積み重ねていき、適切なリハビリやトレーニング管理、騎乗技術の向上などに活用していきたいと考えています。